「暑いから辛いモノにする?」
「だよね〜」
「んじゃ、料理長の替わった『重慶飯店』に行こうか?」
「俺、あそこの『麻婆豆腐』大好きなんすヨ〜」
「ちょっと喧嘩売ってる辛さだよなぁ」
「じゃぁ、汗かきに行きますか〜」
昼飯を食べようと向かった中華街は、お盆休みにどっと繰り出した人で溢れてた。
こんな日に仕事してる俺らって何?・・・と少し悲しくなりながら、
とにかく観光客の波を泳ぎ切る。
とにかく今日は4人で辛いモノを食うのだ!
「いらっしゃいませ」
おっ珍しい。
入り口に黒服が立ってるゼ。
「実は、今日はスペシャルメニューとなっていまして・・・」
何ぃ・・・?
と、振り替えると同僚達が表のメニューを眺めてる。
どういう事?と表情で返すと彼は少し困った風。
何やら良くない事が起きているような気がした時、後ろから同僚達が声をかけた。
「今日は、『お盆スペシャル』で2000円のランチしかないよ〜」
何だとぉぉ・・と叫ばず、わざわざこうやって地元の客に対応してくれる店の配慮を有り難く感じる。
以前、昼間っから酒を飲む観光客と同列に扱った酷い店と比べれば、なんて良心的な店だろう。
しょうがないね・・・と一同本通りに向けて歩くが、とにかく暑いのと観光客だらけでうざったい。
で、思考力も欠如していく・・・・。
こんな時は、「同發」でランチかカレーでも食べようと咄嗟に思いつく。
何故なら「重慶飯店」から「同發本館」はあっという間。
早く冷房の効いた店に飛び込みたい・・という気持もあって、悩まずに「同發本館」へ向かった。
「今日はランチありません」
「えっ? じゃ、五目は・・・?」(休日は五目物をやらない)
「申し訳ありませんが」
「って事は『カレー』も?」(地元民スペシャルも同様)
「誠に申し訳ありません」
やられたよ・・・ここも休日メニューだ。
見渡せば、観光客だらけ。
どのテーブルの上にもビールの瓶が置いてある。
やっぱり今日は、仕事しちゃいけない日のようだ。
こんな日に頼むのは「海老炒飯」(840円)
料理人が疲れていたら最悪だが、まだ昼の部。
腕の筋力が落ちる前ならどうにかなるだろう・・・・・。
いつもならそんなに待たされない料理も、今日ばかりはなかなか出てこない。
待っている間にも客はどんどん入ってくる。
丸テーブルは相席を強要され、宴会スペースの3階も埋まっていく。
そして・・・
これでもか・・というくらい芝エビが乗った「海老炒飯」がやってきた。(いつもの事だけど)
これが、美味い。
珍しく塩加減が抜群。
暑いから塩が強いだろう・・と予測していただけに、嬉しい誤算だ。
盛りも相変わらず豪快で言うこと無しだが、食べていて何かが足りない。
何だろう・・・と考えながら半分位まで食べた時、無意識にお茶を飲んで気がついた。
スープが無いじゃん(ーー;)
「同發」は休日メニューの場合、炒飯にスープをつけてくれないらしい。
(って休日にわざわざ中華街で食べる事が無いから気がつかなかった)
何だよ〜と少しブーたれそうにもなるが、休日にこの味と盛りなら「まぁ良し」とすべきだろう。
観光地の中に会社があるなんて、大嫌いだぁぁぁぁ
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