アロハシャツに短パン、素足にスニーカー、サングラスはするものの当然素手で、
被るメットは半キャップ(ストラップもしない)。
これが、最近巷で出会うリッターバイク乗りに多いスタイルなのだ。
まぁ、アンタがどんな事故に遭おうとコッチの知ったこっちゃないから、
意見なんて当然しないし、からかったりもしない。
だけど、見ていてどうにも落ち着かないんだよね。
そう言う自分も、クソ暑いシーズンに革ジャン・革パン・ロングブーツ・・・といった装備はしない。
だいたい薄手の長袖物の上にカットオフで下はジーンズ、エンジニアブーツとグローブは必須アイテムとなる。
(たまに、蛮勇をもってTシャツで走る事もあったりする・・・>暑いんだよ〜)
事故を何度か起こすと、自分がどの部位を必ず怪我するかが解ってくる。
(私の場合は、親指と膝。それに直撃部位)
だからと言ってそれ以外の部分をガードしないのは愚の骨頂で、
怪我しないまでもかならず接触はしているもの。
当然Tシャツ一枚のような裸同然の格好では、怪我だらけになるのは目に見えている。
車両を運転する時、暑くて汗をかくときほどグローブが必要になる・・
という事をどれくらいの人達が理解しているかは疑問だが、
テクニック本なんかには必ずグローブの重要性が書かれている。
私も最初は、そんなの関係ない・・と持っていたし、(特に車の場合だが)
微妙な操作の邪魔になる・・と考えた事もある。
だけど、バイクで転倒してからその考えは持たなくなった。
(そりゃそうだ。掌に穴が開いちゃったんだから(^_^;))
グローブは、想像以上に手を守ってくれるもの。
肌が弱い自分にとっては、バイクをいじる時も運転する時も、コレ無しでは怪我する・・とさえ感じている。
しかし暑さにおいてはどう有効に働いているのだろうか・・・。
ラリーという競技は公道を使用する競技であるから、あまり派手な装備は必要とされない。
(大したスピードではないから)
車両に安全対策がなされていれば、まず命に関わるような状態には陥り難く、
火災なんて事にはほとんどならないものなのだ。
だから、耐火性生地を使用したレーシングスーツを着る人間はほとんどいなく、
そんな格好で参加するのはスポンサーがついているチームだけだったりした。
(勿論コレは昔の話。今の事情はわからない)
だから一般競技者は、大概がチームロゴの入ったスウェットを着ている位で、
ヘルメット(高速ステージでは着用しなくてはならないが、一般路では脱がされたりした)を被るだけ。
ただ、不思議とグローブだけはレーシング用の物を使っている人が多かった。
ノーメックスと呼ばれる化繊と革で作られたそれは、ハンドルを握る側が革で甲はノーメックス。
腕の半分位まである長さで暑い事この上無く、色も派手で格好悪い上に高価・・ときている。
だから最初は、何故皆がソレを使っているのかわからなかった。
ダートを高速で走ると、ステアリングへのキックバックが強く出る。
だから親指を内側にかけてステアリングをガッチリ握ると、親指を脱臼しかねない。
で、親指はステアリングの上に添えるようにし、残りの4本指と掌でホールドする事になのだが、
これが力が入りにくくて滑りやすいのだ。
ある時ダートを高速で走っていて、掌にかいた汗によってステアリングを取られて
車両を崖から落としそうになった事があった。
ガッチリ握れればどうにかなるんだが・・とも思うが、仲間内でそうやって実際に怪我した人間を見ているから、
どうにも対処法に悩んでいた。
そんな話を仲間と話していると「騙されたと思って、グローブを使ってみな」と言われた。
で、シンプソン(シングルレイヤー)のレーシンググローブを買って使ってみて、愕然とした。
恐ろしくグリップしやすい。
しかも滑らない。
手袋の中が汗でグチャグチャになっても、ステアリングとグローブはズレもしないのだ。
強いキックバックでステアリングから手が離れても、グローブとステアリングが貼りついているように感じる。
例えほんの一瞬のズレであっても、その貼りつきが残っている間にグリップできれば、それでいい。
重大なトラブルを回避できるかどうかの瀬戸際を、こんなグローブ一つで回避できるのなら安い物。
以来、ず〜っとレーシンググローブを愛用するようになった。
そのグローブを見て感じる事は、良く考えられている・・という事。
立体裁断で作ってフィット性を高めたり、ステアリングをコントロールする部分には全て革を使ったり・・。
そしてその革の材質が、鹿革のように柔らかく吸水性の高い物だった。
このグローブのようなバイク用のグローブが欲しい。
そう思って探しても、バイク用のものにはソレに近いものは少なかった。
革が頑丈でプロテクト効果の高い物や、いかにも・・といったプロテクターのついた物。
丈も長めで大きめな物ばかりで、耐水性なんかがあったりするともう使う気になれない。
手の安全のためには良さげでも、バイクコントロールに不向きでは意味が無い・・・と。
暑くて汗をいっぱいかく時、濡れてもグリップの良い丈の短い物。(手首を隠す長さだと焼けた時みっともない)
そんなグローブを探し回っていた時、「無印良品」で要求をほぼ満たす物を見つけた。
(現在、あるかどうか解らない・・が(;_;))
それは、「ゴルフ用鹿革グローブ」(勿論片手)
柔らかい鹿革で作られ、手首までしかない短さで、とても軽い。
右利き用と左利き用を購入し、バイクで試してみたら抜群だった。
耐久性はあまり無く、汗を吸って変色し乾燥する事で徐々に固くなってしまう。
しかし、一夏ごとに買い換えれば問題は無い。
そしてやっぱり汗で濡れたグローブは、貼りつくようなグリップを見せてくれた。
今のバイクはエンジンの発熱が大きく、昼間に乗る気にならないからいいが、
昼用にこのグローブを探そう・・と、ちょっと考えていたりする。
格好より実際の能力。
その意味を理解し、大切にしてきたからこそ、
今の自分がある・・・と思っている。
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