何だか、死ぬほど暑い・・・とはこの事だろうか?
と叫びたくなるほど、毎日が暑い。
もともと汗かきだからってのもあるけど、通勤するだけでTシャツがグシャグシャ・・・。
だから発熱の多いバイクは夜しか走れない・・。
ステップを無くしたから乗れないや・・・と思っていても、あと少しでナラシは終わる。
どうしようかなぁ・・と思っているところにお届け物の依頼。
しゃぁねぇなぁ・・と心の中でにやつきながら、懲りもせずにTシャツを着替えてバイクに向かった。
理由なんてどうでもいい。
走れる事が今は楽しい。
しかし、ヘルメットを被っただけで汗は吹き出し、グローブはすぐ湿ってしまう。
こんな日は、安全で風をタップリ食らわないと、エンジンが茹だってしまうだろう。
だから首都高速を走ってみた。
前回とは随分違う感覚がある事にすぐ気付く。
廻りの車を観察し、動きを予測し、空気を読んでいる。
コレコレ・・・
この感じを忘れてた・・・
あまりに自動車で動く事に慣れていたから、
気を張る方向が変わってしまった事にも気付いていなかったらしい。
手が痺れるように出ていた細かな振動はだいぶ薄れ、
乗り手の感覚も乗るたびに戻っていく・・。
バイクとライダーのナラシは同時進行なんだな・・・と実感しつつ、
第三京浜を65マイルで走る。
もう12時を回った時刻なのに、びゅんびゅん飛ばすライダーはどこにもいない。
ウィークデイだから・・なのかも知れないが、町中も高速も皆穏やかに走っている。
ドロドロとした重低音を響かせるアメリカンもカウリング付きのリッター車も、
何だか中途半端なスピードで走っている。
時代の違い・・かと思うが、格好重視の安全運転で満足できるなら、
それはそれで良い事かも知れないな・・とも思う。
文化の違いを味わった後は、張りつめて興奮しきった感覚を弛緩させる事が必要だ。
だったらビールでしょ(^_^)
間違いなくビールでしょ(爆)
ヘルメットの中で「ビ〜ル ビ〜ル」と独り言。
バイクをとっとと片付けて「RobRoy」へ飛び込む。
マスターが「何を飲む?」と尋ねる前にビールをオーダー。
喉をクワッと広げてぐぅ・・・・・と飲み込んでいく・・・。
ビールって、この喉越しの気持ちよさも味の内。
石原裕次郎がこういう飲み方をしていた・・と誰かに教わったが、
もっともっとビールが苦かった時、この一気飲みに近い飲み方においてはソレが
素晴らしく美味しく感じさせるスパイスのようにも感じていた。
「ビールは喉で飲むんだよ・・」
とグラスを一気に干してみせる先達は、確かに多く存在していたように思い出す。
「RobRoy」の常連はビールを良く飲む奴らが多く、今日も同席した連中は「ハートランド」の瓶を
カウンターに並べて飲み続けているが、そうやってがばっと飲む人はいないようだ。
「珍しい人が来たんですよ」とマスターが話したげに寄ってくる。
どんな人だろ・・と話に乗ると、バーボンウィスキー普及協会の人・・だと言う。
へ?
何?それ??
聞けば、個人的にバーボンが好きで頑張っている人らしいが、醸造所に行く・・なんてのは当たり前で、
独自のテイスティングノートを作ったりストックを貯めたり、世界各国の愛好者達と交流したり・・・と
なかなかのバーボン馬鹿らしい。
「いきなり『ストーンキャッスル』を見つけてオーダーしたら、白い紙をカウンターに敷くんですよ」
「って、色を見るわけ?」
「そうなんですよ。 しかもグラスの上からペンライトで照らして見てるんです。」
「こんな暗い店で、ペンライトなんて出したら営業妨害じゃないの?」
「あはは、飲んでくれるならお客さんですからいいんですけど・・・・。
例えばこのイバン15年の瓶を持って、今度は底からライトを当てて何かを見ていたりするんです。」
「やっぱり営業妨害だ(^_^)」
「『ストーンは、No.3以降は飲んだ事があるけどNo.1は飲んだ事ないんだ・・』とか言うんですが、
一目見てこのボトルがNo.1だって解るあたりがビックリで・・・」
プレミアムバーボンの揃っている店も随分少なくなったが、
そう言われてみれば「RobRoy」はかなり珍しい物が揃っていたりする。
「ストーンキャッスル」
「バーボンコニサーズ」
「ベーカーズ」
「オールドセントニック」
「エライジャクレイグ」
「イバンウィリアムス」
「ブッカーズ」他多数
こっちはバーボンにあまり興味が無いのだが
「イバンの15年が復刻であるよ」とか言われると、ついに手を出してしまう。
そこらあたりが、この店が潰れない大きな理由の一つ(彼は勧め上手)だと感じている(^_^)
じっとり濡れていた汗が乾きバーボンも飽きた頃、トドメに飲むモルトを考えていたが思い浮かばず、
結局「アイル・オブ・アラン」をストレートで飲む事にした。
トドメ・・というには薄すぎるが、軽いタッチのバーボンの後には、思ったより相性が良い。
「飲むって言うから開けたのに飲まずに帰っちゃったからこの『ギネス』飲みません?」
お〜い、トドメは「ボイラーメーカー」かよ(^_^;)
と呆れつつ、喜びつつ、久々に「ギネス」チェイサーを楽しむ事にした。
冷えているギネス(瓶)は何だかライトな感じがして、ライトな「アラン」ともピッタリくる。
何だか美味いじゃ〜ん・・・とニコニコしながら酒を煽っていたが、
既に充分に酒が回っている私は、ライディングで張りつめた感覚を
ズルズルのだらしない緩み方にまで解きほぐせたようだ。
ライディング後のシメの酒は、やっぱりこうだよなぁ〜
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