朝6時、隣のテントの話し声で目が覚めた。
ウルサイ・・と怒鳴ったら、隣に寝てる奴まで起こしてしまいそうだから少し黙っていたが、
誰かの子供が手を叩きながら連れてきた犬と遊んでいる・・・。
どうせ早く帰るつもりだったし、どうせ目が覚めたんだから・・と起きる事にした。
身支度をしてバイクに荷物を載せようと、駐輪スペースに向かう。
夜露で濡れたバイクが、早く拭いてくれ・・と言ってるように見える。
ウェスで水分をふき取り、デイパックをリアシートにくくりつけ、エンジンに火を入れた。
2・3回のブリッピングでぐずる事も無く安定するアイドル。
少し発熱量が多いエンジンだからか、すぐエンジン回りが暖かくなっていく。
こんな時間でも、舞台を片付けたり掃除をしたりしているスタッフが居る。
楽しむだけのゲストの為に、そしてスマートに現状復帰をするために、
自主的に始めた事なのだろうが、まったく頭が下がる。
エンジンの音を聞いて、数名がバイクの側まで見送りに来てくれたが、
中には「本当にバイクに乗ってきたんだ〜」とからかう奴も・・・(^_^;)
富士の麓という標高もあって薄い霧が出ているが、山を下りれば間違いなく猛暑。
だから、長袖のTシャツにカットオフだけの軽装で、会場を後にした。
シールドが水滴で曇っていくが、エンジンは調子良い。
昨日より間違いなくスムースになった・・と感じながら、早朝のライディングを楽しむ。
下り勾配のおかげで制限回転数を超えそうになるが、そこは我慢。
ちゃんとしたナラシをしないと、長く乗る事ができなくなる・・と、自分をきつく戒める。
雨の匂い、山の匂い、そして高速道路の匂い・・・
バイクに乗っていると、色々な匂いに敏感になるらしい。
場所によって変わる匂いを感じながら、山から街へ戻る過程を感触として焼き付けていく。
ゆっくりと走る事で、新しい何かが見えた・・・と誰かが言った。
その事は、何度も体験し、
その重要性は、誰よりも知っている・・・
・・・・と思っていた。
しかし、朝日に輝くアスファルトを裸足で歩いているような感触は、
やっぱりその体験のみが、その時の感触を刻むのだと語ってくれた。
誰かと語らう楽しさも良いが、
早起きしてゆっくり走る素晴らしさもなかなか良い。
よく戻ってきてくれたね・・・とタンクに手を載せたら、
またタンクに映る自分の姿と空に見惚れてしまった・・・・(爆)
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