敢えて目を向けないようにしていた。
そこに居る事は解っていても、心の奥底に押しやるようにして、見ない。
そうしないと、平常心を保てない。
だから、まったく気にならないフリをして、別の遊びに没頭するようにしていた。
しかし、明日の予定が決まらないのでは困る。
だから意を決して顔を出したのは昨日だった。
ファクトリーのドアを開けると、そこには見慣れたマシン。
タンクは無く、ヘッドも載ってない状態・・・は変わってない。
エンジンにかかっているウェスを持ち上げると、シリンダーにピストンが入っている。
ここまでは組み上がったんだ・・・と少し安堵するが、
サマーパーティーは去年同様、車での参加だ・・と思い込んだ。
「もう、シム調整するだけでヘッドは載せられるから、夜「火」が入ったら明日渡せるかも」
「え〜〜〜〜〜本当〜〜〜〜〜???」
メカニックがニヤッと笑いながら言う。
だんだん笑みがこぼれ出す・・。
それではよろしく・・・とお願いして帰ったのだが、今日も朝から気になって仕方が無い。
で、ファクトリーに訪れると、既に試乗が終わって新品のタンクに載せ換えよう・・としている頃だった。
古いヘッドは、吸気側にカーボンが堆積し、ピストンもかなりカーボンがついていた。
それと比べるのが間違い・・と気付く位、綺麗なピストンとヘッド。
ほんの少しだけポートをさらった・・・と聞いて、期待は嫌が上にも増していく。
探しても見つからなかったカーカーのメガホンはそのまま使用し、給排気系は一気に交換する事を計画する。
FCRに交換したら、それとバランスを取る時に一気にやった方がいい・・と。
ビッグサイズのオイルクーラー、フルスケール260キロのメーター、ハイワッテージのヘッドライト・・・。
小技の利いた、いじった事が解る程度の変更点は、さりげなく・・でも普通じゃ嫌な私にピッタリ・・か(爆)
明日はパーティーの準備で、納車は無理・・と言われて、組み上がるのを待った。
・・・と言うか、絶対今日、乗って帰りたくなってしまった。
そして5ヶ月ぶりに、私のバイクは走れる状態で帰ってきた。
奈良や浜松から来た仲間が既に飲んでいる店に向かって、XJRを走らす。
腰上だけの交換が動的バランスにどう影響するかは解らないが、それとて振動を発生するくらいの物。
どうしようもなければ、バラしてバランスを取るまでの事。
(全バラだからまた、時間がかかるだろうが、必要なら仕方ない。その場合は冬にしよう(^_^;))
「バイクに乗っている姿なんて見た事無い・・」と良く言われるが仕方ない。
だって、バイクが無かったんだよ〜(^_^;)
オマケに、カメラやレンズをたくさん積んで、バイクで走りたくないんだよ〜
誰かと一緒に上手く走る事なんて、で・き・な・い・ん・だ・よ〜
バイクに乗る時は、可能な限り荷物は積みたくない。
下手くそだから、コントロールの邪魔になる余計な重量物は、載せたくないのだ。
勿論、他人の心配なんてできるワケも無い。
飛ばす時には、伴走車のスペースなんて作ってやれる余裕もない・・・と。
そんなワケで単独で走る事が多くなり、
撮影したくなるようなイベントに向けては、バイクで参加する事が極端に少なくなって、
走行している姿は当然、目撃されない・・・という事になるのだろう。
ちゃんと生き返って、
前より力強くなって、
そして前と同じように走ってくれる。
生き返ると信じていたから、長い時間もコストにも目を瞑ったが、
他のバイクに・・との勧めにも耐え抜いたが、
それは間違っていなかった・・と思っている。
仲間が集っている店に乗りつけ、バイクが帰ってきた事を見せつけたら、
後は明日に残らない程度に飲み倒そう。
でも、どんな酒も、今日のこの気持ちには敵わない。
風を切り裂きながら突き進む気持は、あまりの輝きに浮かれまくってしまう。
そう感じる事だけで既にヘロヘロになっている程酔ってしまうのは、
それだけ私にとって、バイクは魅力的って事なのだ・・・な(^_^)
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