直撃コースの台風6号が迫ってきた。
その強風と存在感のある雨が道をちょっとした川に変え、外で食事をしようと出た事を少しだけ反省したが、
今夜はどうしても飲みたい気分が簡単に全てを凌駕して行動させているらしい。
一緒に飲む?・・と誘うとのってくるヤツが3人もいて、
どこへ行こうか・・と悩んだ末にチョイスしたのはあの「KOTOHOGI」だった。
(店のすぐ側にコインパーキングがあるから集合しやすい・・という事がその理由だが)
wine&chops KOTOHOGI
横浜市神奈川区泉町14-1
045-317-5517/045-319-0955
いつもそれなりに込んでいるココも、こんな夜は空いている。
「オッまた来たな・・」という表情をする店長は、びしょ濡れの傘を丁寧に畳んで傘立てに立ててくれる。
ソレぐらい自分でするよ・・・という気持も、嫌味なく行動する彼にはかなわない。
都合4人になる事を告げると、奥の6人掛けのテーブルを用意してくれた。
これでもか・・・と降りそそぐ雨を見ながら、酒を飲むのもまたオツなモノ。
窓ガラスにかかる雨が流れて歪む景色は、泣き出したいような気分で見る景色に似ているな・・・
と思いながら、今日の酒を選んでいた。
しかし、この店のメニューは魚が多くて、どうしてもワインより日本酒が欲しくなる。
で、店長に「日本酒はないの?」と尋ねてみると・・・
奥から3本の吟醸酒を持ってきた。
「越の寒梅」(白ラベル)
「春の宵」(3年古酒)
「天法」
何だよ〜有るんじゃん、日本酒。
しかし味が解らないからどうしよう・・・・・と思っていると店長がグラスを三つ持ってくる。
で、味見をして決めろ・・・という事になったので、一通り舐めてみた。
「寒梅」は別撰より強いボディがあり甘さもしっかりあったが、それでもあの線の細さも同居する。
ところが、「春の宵」はその線の細さを取り払って、しかも艶やかな香りと円やかな口当たりが伴っていた。
これは美味い・・・・と正直に思う。
で、コレを飲んでしまうと次の「天法」(多分この字だと思うが達筆なので良くわからない)が物足りない。
丁度「寒梅」と「春の宵」の中間のような味だが、それ故個性が乏しく感じてしまった。
かなり魚料理が揃っている店だから無い方がおかしいと気がつけばよかったが、店の造りは明らかにワインバー。
だから、コッチも無いモノと決めつけていたのだが、かなり間抜けだったと反省する。
この「春の宵」は、30代後半のバリバリに仕事ができる女性がきっちりスーツを着ているのに、
何故か色気がこぼれているような魅力に溢れている。
料理を邪魔しない素性の良さと心地よい酔いが、身体全体をやさしくくるむ。
いい出会いだ・・・と素直に喜んでいると、店長が剣先スルメを炙って出してくれる。
もう、この気遣いですっかりやられてしまった。
お通し
前菜盛り合わせ(4品)
マグロとアボガドの生春巻きKOTOHOGI風
真鯛の生湯葉巻揚
穴子とズッキーニのカリフォルニアロール
小柱とアボガドの冷製パスタ
ペペロンチーノ
とオーダーしたが、今日は基本的に日本酒でお腹がいっぱいになっている(^_^;)
フワフワとした酔い心地に浸っているだけで幸せになっているから、今日の味は全て美味しく感じるようだ。
(それでも、ちょっと塩がキツイ・・と感じる。良い塩でなければ怒るところだが)
魚は日本酒がいいよなぁ・・・と思うのは、良い酒に出会えてきたからだと思うが、
米で醸した酒には日本の食生活に合わないわけはない。
ご飯の代わりになる酒だからこそ、技を凝らした魚料理に合うのだろう。
この店に日本酒のリストを置かないのは、まだまだ店長の若さ故・・・かも知れないが、
こんなに酒一つでイメージを変えられてしまうと、意見したくもなる。
そのうち、日本酒と料理を楽しむ姿が「KOTOHOGI」で常時見られるようになった頃、
そんな話をするようになるかも知れない。
本日のお代 14,900円 (ラガー×1 ペリエ×2 「春の宵」×4 カプチーノ×2 エシプレッソ×2)
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