珍しく東京で打ち合わせ。
いつも車で出かけるから電車の使い方がわからない。
時間の計算もできない・・・・(^_^;)
これだから常識が無いって言われるんだなぁ・・・と自嘲するが、
確実に辿り着ける線に乗って出かけた。
雨の日、結構人数の多い電車。
床は濡れて滑り、湿気のせいで目眩がする。
着慣れないジャケットが鬱陶しい。
電車の中に居る人達は皆疲れた顔をし、まだ明るいうちから居眠りに陥る。
そんな人達を観察しながら、どんな人だろう・・と想像するのが楽しかったりする。
・・・と、突然肩が重くなる。
エッ・・と思うと横に座った女性が、完璧に熟睡なさっているようだ。
こりゃ・・・困った・・・ぞ。
(嘘つけ、喜んでいるくせに>俺)
下手に起こして痴漢に間違われたら困る。
でも、肩を貸す義理なんて全然無い。
ジャケットの肩にヨダレなんか垂らされた日にゃタマランしなぁ・・・
ちょっと座り直すようにして起きるのを期待する。
彼女は、ハッと気がついて起き、頭を上げてくれたが・・・・
ズンッとまた、肩に頭が乗ってくる。
オイオイ・・・勘弁してくれよぉ・・
と、また座り直すが、10秒もしないで同じ状態になった。
こんな時、前から見たらどうだろう。
ピッタリのカップルに見えたら見過ごせるだろうが、自分には不釣り合いな若い娘だ。
どういう関係に見えるか・・・と想像しながら、今度の対策を考えた。
席を立ってしまう。
ちゃんと起こして、文句を言う。
このまま我慢する・・・。
悩んでいるのもバカバカしくなってきたので、このまま我慢する事にした(^_^;)
「うふふ・・・バカじゃん」
と突然耳元で言われる。
ふぇ?
何で?
コイツ、俺の知り合い?
とビックリするが、そんなワケは無い。
首を捻って彼女を見ると、心なしか微笑んでいるように見える。
どう見てもしっかり熟睡中のようだから、どうやら寝言らしい・・・。
半袖のTシャツにジーンズで、黒い大きなヒップパックを膝に置いている。
そのポケットにはジャラジャラとアクセサリーのついたローズピンクの携帯が刺さっていた。
携帯でも鳴ってくれれば起きてくれるだろうな・・・・
と心なしに思ったりするが、こういう時にはかかってこないものらしい。
ずぅぅんと肩が重くなってくる・・・。
どうやら、さらに熟睡モード。
早く新橋に着いてくれぇ・・・と心の中で祈る。
頼むからヨダレ垂らさないでくれぇ・・・とも。
こういう時、何故か時間の流れが遅くなるのは何故だろう。
いったいコイツは何処まで行くのだろう・・・。
何処かの駅で、少し長めに停車する電車。
このチャンスに立ち上がってしまおう・・・と、決心する。
腰のためには座っていたいが、肩でコイツの体重を支えるのはもっと腰に悪そうだ。
ホームから発射のチャイムが流れるが、その曲が蒲田行進曲だから蒲田だろう。
目指す新橋はもうすぐだ。
ヨシッと思った瞬間、まさにその瞬間、
彼女はガバッと起きあがり、バタバタ・・・とドアに向かって走って行った。
えっ?
何が起きた・・・・・・??
突然軽くなった肩が、少し寂しい。
もし、見ず知らずの人の肩を借りて熟睡してしまって、その人が耐えてくれていたらどう謝るだろうか?
特に、最近の若者がなら・・・・と思っていたのに、完全に肩透かしを喰らった気分だ・・・。
仲の良いカップルに見えた二人が実は全然関係ない二人だったと解った時、
残された人間はどう見えるのだろうか?
何も出来ずに所在なげに座っているしかできない私は、何だかとっても間抜けに思えるじゃないか・・・。
なるほど、こういう事を肩透かしって言うのだろう・・・・・(^_^;)
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