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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

謝罪

1国を東京方向に向けて走る。
横浜駅東口を過ぎ、ポートサイドに抜けられる交差点を過ぎると、横断歩道のための信号がある。

道は5車線の広い道で、右側3車線が右折、左側2車線が左折のためのレーンに設定されている。
それはその先の突き当たりで、右が第1京浜、左が第2京浜に繋がるからだが、
私はいつも、第2京浜方向へ行くため左折用のレーンを走る事になる。

しかし、この左折用のレーンはとても走りにくい。
と言うのは、2車線しかないレーンなのに、コンビニ・牛丼屋・ラーメン屋の客が違法駐車している事が多く、
実質1車線しかない部分が多いからだ。

しかし今日は、珍しく一番左の車線がクリアなので一番左のレーンで停止する。
右側には、ちょっとウルサめなバイクが一台信号待ちで停まっている。

何故左側のレーンにいるか・・と言えば、左折した先の道にまた問題があるのだ。

と言うのは、2車線の左折レーンが曲がった先で3車線になるのだが、
その左折の際どうやって3車線に車が散らばるかが解りにくく、しかもかなりの角度で曲がっているため、
とっちらかったライン取りをする車両が多いのだ。

そういった所だからか当然事故も起きやすく、右側の左折レーンは曲がった先で一番右側に行くように
コーナー内にまで通行区分帯が引かれ、それによって車両事故は軽減したように感じている。

左側のレーンで進行すると、曲がった先は横浜駅方向へ行く左折か第2京浜方向へ行く右折かを選べるから、
自宅方向が青木橋の先を左折となるため、いつもコッチのレーンを走るようにしているのだ。


実は、ここの信号が青になった瞬間「全開」で行けば、青木橋を青のまま通過できる可能性が非常に高い。
(歩行者信号が青になっていない限り)
だからこの信号に捕まった場合、いつもしっかり加速するようにしているのだ。

で、今日も、そうやってその信号をスタートした。

フル加速していくと、右側の車線にいたZ2モドキが中途半端な加速で前に出る。
音ばっかりウルサイが、チェイサーと同等の加速しかしない。(400cc並の加速って事)

ブルーっぽいタンクにお馴染みのパターン。
黒いジェットヘルに、ゴーグルの様な真っ黒のサングラス、そしてTシャツ・・。
お兄さん・・と言っちゃぁ失礼な年齢に見えるから、若い頃の思い出を具現化したのかも知れない。
走り方が今一歩サマになってない辺りが、情けない・・と感じてしまう。

遅いバイクだなぁ・・・と思いながらいつも通りに左コーナーを目指す。

しかし、そんな加速しかしないライダーだからカッコだけの下手くそかも知れない・・と、
バイク一台分のスペースは残したままコーナーを迎えた。

コイツ、ライン跨ぐんじゃないか・・・?

と思った途端、右のレーンから左のレーンに向けてカワサキが曲がる。
リーンしているからライダーの頭の位置は、完璧に私の進路を妨害していた。

下手クソ・・・・と思うが、こんなモンだろ・・と、自分を諭す。
スペースを空けずに並んで突っ込んだら、土手っ腹に突っ込まれていたかも知れなかった・・・と。

と、ここまでは何時でも転がっている日常の一コマだった。
しかしその後、私は信じられない光景を見た。


コーナーリング中に進路変更をしたカワサキは、そのまま一番左のレーンに進路変更をし、
そしてすぐ私の前に進路を変えスローダウンしたのだ。

当然、私の車はカワサキに追突しそうになる。
オイッ・・・危ねえなぁ・・と思った途端、ヤツは約2車線分のスペースを使ってスラロームを始めた。


ブチッと何かが音を立てた。

もう一回ヤツが私の前にリーンしたまま飛び込んできた時、
少しだけアクセルを開ける。
チェイサーは当たり前のようにカワサキに向かって加速した。

頭の中で「ぶつけてやれ・・・」と言う声が響く。

しかし、次の瞬間アクセルを抜いたのは、
私がライダーでもあるから・・かも知れない。


私はレーンチェンジもせずに走っていた。
ただ、加速がバイクと同等であっただけだ。
それなのに、そのライダーは3車線に跨って進路妨害を行った。

何故だ?

カワサキと同じ加速をした事に腹を立てたのか?
コーナーでスペースを空けてあげたのが気にくわなかったのか?
いずれにしろ、ここまで露骨にケンカを売られる理由が解らない。

出るか!?

右折レーンに居たから東京向けに走るはず。
左折用の左のレーンから一気に右折する時コースを塞いでしまえば逃げられない。
コースを塞ぐべく、ミラーでヤツの進路を観察した・・・。


さて、こんな時、ライダーの立場で今の状況をシミュレートしたらどうだろう・・・。


青を確認しスタートを切る。
全開では無いもののそれなりに引っ張るのは、先のコーナーで走りやすくするためだ。
しかし、左車線の車が妙に速い。

最近の車は速すぎていけない・・・と思いながら、
自分の左が空いているのを確認してコーナーに飛び込んだ。

ヤケに明るいヘッドライトが真横に見える。
リーンしている身体のすぐ側に車のノーズがある・・・。

オイ!何だよ?
ぶつける気かよ?
危ないじゃねぇか!

頭きた!
許さん!!
ちょっと脅してやるか・・・

一番左のレーンから車の前に出る。
アクセル・オフ!
だめだ・・・効かない・・・・、ピッタリついてくる・・・・。

それじゃ・・・と、右・左とスラロームする。
コレをやれば、大概の車は車間を取る。
バイクを舐めんじゃねぇ・・・ゾ!っと・・・・

アレッ? 何だよコイツは?
そのままついてくる・・・。
警告だってわかんなかったかなぁ・・・・・。

じゃ、もう一丁!
と右にリーンした時、その車は加速した。
右側の膝側にノーズが近付いて来る・・・。

やべぇ
ぶつけられる・・かも。

このままコイツと同じ方向へ走ったら、喧嘩必至だな。
バカバカしいから逃げよ〜っと。


その後バイクはヨロヨロと失速し、行き場所を失ったような挙動を見せた。
それは明らかに、反撃を喰らった事による動揺にも見える。

どうやらライダーは、車の前で派手にスラロームを切って見せたのに、
車間を詰められるとは思っていなかったようだ。

そしてバイクは、突然進路を変更し直進した。


夜に、真っ黒なサングラスなんかしていたから、私の車が見えなかったのかも知れない。
自分がコーナーリング中に進路変更し他車の進路妨害をした事にも気付かず、
明らかに敵対心を剥き出しにしてスラロームを切る。

こんなライダーが居るから、バイクは悪者にされるのでは?・・と思う。

そしてバイクの事を良く知っている私にさえ、
「ぶつけてやれ」という感情が起きた事は、ある意味ショックでもある。

それは「ブツケられるならブツケてみな・・」という挑発的な走り方に触発された感情だから、
もし私がバイクなんか乗った事無い人間だったら、アクセル・オフできなかったかも知れないって事だ。


大人げなく腹を立てたのは情けないが、こんな走り方はもう見たくない。

圧倒的な加速力を過信して、自分の走るスペースを作らずに走る奴は、
想像以上の走り方をする相手に対応できないのは当たり前。
そして、そんな走りをする車両は確実に存在するのだ・・という事を、知るべきだ。

これ見よがしに腹まで見えるようなスラロームをしても、チョンと押してやれば即、スリップダウンだ。
ソレくらいバイクは脆弱な乗り物だと、心して走らなくてはいけない。
車から見たら、バイクなんて玩具にしか見えないって事も、知るべきだ。


飛ばすなら徹底的に千切って走れ!
自分のコースは自分でスペースを作って組み立てろ!
それができないのなら、大人しく走っている方が身のためだ。
それができないで走るのは、廻りの迷惑でバイク乗りの敵でもある。


同じライダーとして、そんな走りをするライダーがいた事を、恥じる。
そして、全ての道路供用者に向けて謝罪したい。

 
 
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