「もう仕事やめた〜」と叫ぶ人間が一人。
その声を合図に、午後の仕事は終わった。
ワールドカップを観戦する職場で、黙々とデータの打ち込みしているのは、
サッカーに興味が無いわけではない。
今日は「亀の日」なのだ。
関内のパブリックビュー会場に大挙して終結しているサポーターの数は半端ではない。
どんどんブルーで染まっていくように感じると傍を歩いた人間が言っていたが、
中華街はすっかり人気が消えてしまうのを見ると、行って騒ぐか家で見るか・・・のどっちかだと、思える。
そんな日、夕方5時に終わってしまうサッカーの後、
興奮冷めやらぬ連中が野毛を襲来する前にオフィスを離れたい・・・。
勝っても負けても、集団で騒いだ後は飲み倒したくなる気持は容易に想像できるからだ。
だから、きっちり仕事をしていた・・・と(^_^;)
17時半キッチリにオフィスを飛び出し、タクシーに飛び乗る。
「日本、勝ちましたよ〜」と興奮している運転手。
ここもワールドカップに浮かれる人々が居るワケね・・・と苦笑しながらも、
歴史的日と言える予選リーグ突破を見られた事は幸せなんだろうと、あらためて感じたりする。
が、もう心は「亀の翁」。
そのスッキリとした酔い心地が待ち遠しい。
そして6時前に飛び込んだ「七福」はなんとガラガラであった。
今日は最初に宣言する。
「ソレばっかり飲まない。 大事に飲む。」・・・と。
でも、最初から「亀の翁」を飲む事は変わらない。
少し香りが強い。
と言うか、風味が落ちている。
それは口の開いた瓶からのモノだから仕方が無い。
数の少ない足の早い酒だが、それを一本買いする客はそう居ないのだろう。
(少なくとも7500円はするはず)
谷中生姜
さよりの刺身
味噌胡瓜
厚揚げ
鰯胡麻ガーリック風味
肉豆腐
串焼き盛り合わせ
と肴を揃え、二杯目からは一本頂いて皆で分ける。
(しかし今日「亀の翁」はここまで。これ以上は先月の二の舞)
穏やかな味わいが、胸の辺りから頭に向かって立ち上る。
ふわっとした酔い心地が耳の辺りから広がっていく・・・。
やっぱり美味いよな〜 この酒(^_^)
そして次・・という事になって悩んだのだが、今日は店から提案があった。
「越の初梅」雪中貯蔵純米大吟醸 日本酒度 +4
平均温度0度、湿度100%、空気対流0の状態で約100日間貯蔵された酒と言われてもピンとは来ないが、
とにかくコレも手に入りにくい・・と言われるものらしい。
お店としても「一年でこの時期にしか出てこない・・」と言うから逆に遠慮すべきか・・とも思う。
が、口を開けて置いておけないタイプだとすれば、一本買いしてくれる客に出そう・・という考えもあるだろうし、
この飲みっぷりから薦めてくれるのなら、断るわけにはいかないだろう。
平成14年春第90回全国新酒鑑評会・金賞と言われるだけあって、
最初にこの酒を飲んだらもう後はいらない・・と言いそうになる位の美味しさ。
日本酒度は同じでも、香りが豊で骨が太い感じがする。
亀の翁の後にもその良さが解る・・・という事は、それだけの力と個性があるのだろう。
例えて言えば、30代の良い女がキッチリ着物を着た感じ・・・か。
前回は、薦めてもらった酒を飲んだ直後に意識を失ったが、今宵はそんな気配は微塵もなく、
磨き上げられた酒・・という感触をたっぷりたっぷり楽しめる。
良い酒に出会えた・・・・と、幸せな気分に浸れた。
今回は私を含めて5人の参加で、支払いは24000円を少し超えた。
上質な酒2本半と腹一杯の肴代としては、まぁまぁか・・と思った。
来月の亀の日、どんな出会いが待っているだろう・・・と思っているのは、私だけではないらしい(^_^;)
|