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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

もう一つの出会い

「最初に何かお飲みになりますか?」

「日本酒を・・・冷やで。 何かオススメはありますか?」

「冷やでしたら『黒帯』の5年古酒があります。 おすすめです。」

「じゃ、それを。
 それと、握りは・・・1カンづつお願いしても良いですか?」

「はい、勿論(^_^)」

という会話で始まった六兵衛寿司。

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六兵衛寿司
JR金沢駅 駅ビル内「金沢百番街・おみやげ館・ぐるめ小路」
朝10時〜夜10時
TEL(076)231-1572
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昨晩の乱行の後、フライトまでの時間を利用して金沢駅まで足を運んだのには理由がある。
散々北陸の連中に美味い・・・と聞かされていた魚を食べたかったからなのだ。
しかも、寿司で。

金沢は加賀料理が有名で寿司も名店がかなりある・・・と聞いているが、
料金も名店だと聞かされている。
また、昼からやっている名店を探す時間的余裕もない。(金銭的にも)

で、以前友人が来た時食べて「駅の中の寿司屋とは思えない素晴らしさ」と表現していたこの店を、
確実に昼やっていてリーズナブルな店として選ぶ事にした。


一番の目当ては「白エビ」だったのだが、生憎と入荷は無く見送りとなってしまった。
しかし、まだまだ珍しい地の魚があるはず。
で、片っ端から食べてやろう・・という構えで、3人の板さんと対峙した。
(8人座ればいっぱいのカウンターに3人の板前とは贅沢だが)


「白エビがないのなら・・・」

「ガス海老がありますが如何でしょう?」

「それはコチラで採れるモノですか?」

「えぇ」


と言う事で最初は車海老程度の大きさがあるガス海老となった。
(ガサ海老という名のはずだが、彼等はそう発音する)

生だからか身が縮み、ちょうど車海老の生を食べるようだ。
舌触りは甘く歯ごたえがある。

しかし、シャリが大きめで、握りとしてのバランスが悪い。


「あの・・・すみませんが、塩がありましたらください」


と言った途端、彼等の顔に少し緊張が走る。

『何故、塩が欲しいんだ?この客』
とでも言いたげな顔色だが、そんな事は気にしない。
ここで出す塩を見れば、その店の考え方や塩の使い方が一目瞭然なのだ。


出てきた塩は、サラサラの粉のような塩。
化粧された淡いピンクの塩で塩らしい強さは無く、飾り的な使い方をするものだと解る。
ちょっとがっかり・・・・するが、この店で塩で食べる人は居ない・・・という事だろう。


ヒラメを頼んで、その塩を振って食べてみる。
いつもの食べ方で比べるのは、魚の味と塩の味。

しかし、やっぱりこの塩は頂けなかった・・・。
が、ヒラメは滋味が溢れて味わいがある。


握りは出された瞬間に食べてしまいたいモノだから、テンポよく一口で頂いていく。
そのスピードと殆ど醤油にもつけない食べ方を見て、板前が握り方を変えた。

最初はシャリ大きめ、切り身厚めの握り(一口では食べられない)だったのに、
薄く大きく切るようになったネタが小さめのシャリを包み込むようなバランスに変化した。

駅ビルの店だから、客は殆どセット物しか頼まないのだろうし、
そういう物は10カンでもかなり腹保ちが良くなければ評判に関わる。
だからいつものスタイルで無意識に握ったのだろう・・・と想像できた。

しかし、そうやって握ってもらえば、俄然美味しくなる。

よし!これなら美味い!!
片っ端から食べてやろう・・・(^_^;)


ガス海老
カワハギ
石鯛
ヒラメ
ハチメ(メバル)
甘エビ

と頂いていく。
甘エビはさすがに本場。
大きさも甘さも横浜で食べる物と別物に感じる。


「美味い・・」

と呟くのを彼等は聞き逃さなかったのだろう。


「地の物として今は『バイ貝』『万十貝』があります」


バイ貝は不思議な格好をした剥き身で置いてあったから興味があった。
万十貝は白い大きな二枚貝で、その大きさからすこし躊躇した物だった。

この時期はバイ貝、トビウオ、ハチメ、辺りは食べておけ・・と言われていたから
その不思議な格好をしたバイ貝を頼んでみた。
コリコリとした歯触りが楽しく、アワビほど固くなく、そして味は海の香り溢れるもの。
初めての食感と味は、もう食い気を全開にしてくれる。

そして勧められるままに、生のゲソとトビウオを頂いた。

バイ貝
烏賊ゲソ
トビウオ
ガンド(ブリの小さい物)
雲丹
さより
コハダ
穴子

コハダは〆方が素晴らしい。
酢が穏やかで好きな味に仕上がっていた。

しかし、ここまで食べたら最初のうちの大きめなシャリが効いてくる。
鯖も食べたい所だったが、地の物だと言う穴子でトドメとさせて頂いた。

これで7000円ちょい・・・というお勘定だが、それをどうみるか?
(山田屋よりちょっと高い感じ)


今回あらためて勉強になったのは、握りはバランスが大事・・という事。

偶然にもぼってり型握りと小振りの握りを食べられたわけだから余計解りやすかった。
同じ板前で違う握り方が出る・・・なんて事は、滅多にあるもんじゃない。


鮮度に勝る物無し・・といった感じの仕事だからか、白身の熟成のタイミングや生海老の処理に工夫が足りない。
でも、駅ビルにある小さな寿司屋がこのレベルとは驚きだ。
横浜じゃ、この店より高い金取って全然追いつけない店だっていくらでもある。


こんな出会いもまた、遠くに足を運んだからこそ・・・の事。

ご馳走様でした。

 
 
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