今年の株主総会が無事終わって、総務としてはお正月が来たような気分に浸っている。
色々な問題が湧いてきて、その建前と本音の狭間で表と裏とに手を回す厄介さはあったが、
結果良ければ全て良し・・・という状態であった事は幸せと思う。
苦労をかけた部下達を労い、ゆっくりと自分のために杯を干していたが、
28才の若者とも一緒に飲む事となった。(一緒に飲めればウェルカムだ(^_^;))
彼を見ていると、こんなに若かったのだろうか・・と自分の28才を考える。
人生の短さに気付き、慌ててリレーションを増やそうと動き出したのはその歳だったし、
舐められちゃイケナイと大人ぶった行動をとろうともがいてもいた。
こんな風に日々酒を浴びる生活は夢のまた夢。
そんな事より、技術を磨いて誰よりも強くなる事の方が大事だった。
勿論その頃欲しかったモノは車でありバイクであったが、
それは単なる物欲だけの問題ではなく、自分の能力(この場合は収入力か?)以上のモノを
所有し扱う事が夢のようなモノに思えていた。
それを「若さ」と言ってしまえばそれまでだが、ガンガン稼げば何でも買える・・・と
半分以上本気で思っていたのはやっぱり子供の考え方だ・・・と、今になれば良くわかる。
一緒に酒を飲んだ28才の若者は、自分の道と他人の心が見えないと悩んでいた。
そう言われりゃ、自分もその頃そう思っていたと思い出せる。
だから、その時の自分が欲しかった「考え方」をいくつか語ってみた。
夢を持つ事。
夢を実現する意思を持つ事。
多くのカタログを見、多くのスタイルを学び、自分の身の丈を知り、
自分の力を知って、望む方向を探ると共に自分を鍛え上げる事を伝える。
難しそうな事でも、そうやって生きてきたカタログを見れば、
実現できる可能性は高くなる。
だからこそ、これから12年間は、目一杯遊べ・・・と教えた。
彼は「遊び」という言葉の意味を計りかねたが、
それは体験と投資と記憶の保存だと教える。
無駄遣いにするか、投資になるかは本人次第・・・という事か。
人と人との繋がりは、並行して走る車両同士の関係に近い。
同じ道を走っていても相手の位置や速度を理解せねば、車間距離を保ったまま走る事はできない。
相手を無視して置き去りにすれば、相手は曲がり角で別の方向に行ってしまう事もあるのだ。
と、例えば恋人同士の事に当てはめて考えろ・・・と伝えたら、
彼は私の言いたい事を少しだけ理解したように見えた。
ただ、置いてきぼりを食ったパートナーが交差点で別方向に走り去っても、
進んだ道がまた元の道に繋がっている事がある・・・という事は、
色々な経験の後今の歳になってやっと理解できるようになった事。
「世間は狭い」という言葉は、
きっとそんな交差点を幾つも通り過ぎた人が造りだした記号だと、思えるのだ。
道は繋がっているからこそ、お互いの無事を祈って違う道を進みたい。
すれ違う事も併走する事もまたある・・・と知れば、今一時の別れは何でもない。
そう伝える事で、彼はどう感じたかはわからないが、
その「考え方」が一つのカタログとなってくれれば良いと思うのだ。
今宵の酒は、少しばかり酔いが回るらしい。
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