「小籠包」が広く知られるようになったのはグルメマンガの影響だと思うが、
この不思議な食べ物は餃子や焼売の人気に(コスト面でも)未だに押され気味。
しかも、本格的な小籠包を出す店は少ないようで、上海料理の老舗に行っても首を捻る事がある。
(不味いって事ではなくて、本来のスタイルではないように思えた)
ご存知の方も多いが、スープを皮の中に閉じこめた「包」であるから、
姿だけ似ていてもそのスープが入っていなくてはいけないのだが・・・・。
以前台北に行った時、小籠包で有名な「鼎泰豊」(でぃんたいほん)に入ってみた。
色々なメディアに取り上げられ、その美味しさを伝える文章は枚挙に暇が無いのだが、
それを鵜呑みにするほど若くはない私は、半ば意地悪な目で店を観察しようと思っていた。
(丁度新宿に鼎泰豊が支店を出した後で、本店で食べないうちに行きたくなかった・・というのもあった)
しっかり観光客値段になっているは、いきなりビールを勧めるはで
ちょっとばかりがっかりさせられたのは事実だったが、
柔らかい皮に包まれたタップリの熱々スープが
「本物はこうじゃい!」と自己主張する「小籠包」はさすがだった。
とにかく皮が薄い。
そして美味しい。
しかし、口の中で溶けて消える・・・とまで言われている程ではなく、
その手の記事に踊っちまった・・・と反省しつつの食事でもあった。
今日は友達と遅くにメシを食うため、「北京飯店」に行った。
中華街で遅くまでやっている店は少ないが、その中でかなり有名なのがこの店。
値段は深夜値段になってしまうが、深夜でも「小籠包」(この店では「小籠湯包」と称している)が食べられる。
(小籠湯包:8個 1500円)
で、久々に食べたくなってオーダーしてみた。
柔らかい皮は箸で触るとふるふると形を変えて見せる。
それはしっかりスープが入っているという証拠だから、そのスープをこぼしてはいけない。
「これっくらい、スープが入ってなきゃ・・ネ」と呟きながらレンゲに小籠包をのせ、
酢醤油を糸生姜で塗りつけ、その生姜を小籠包の上にのせたら一気に・・・・・
と食ったら火傷しちゃうから、箸で皮を破ってレンゲにこぼれたスープをすする。
こんな時間に申し訳ない・・と言いたくなるような美味さ。
少し冷えてきたヤツはもう、生姜のせたら一口でいただくのだが、
以前食べた時より鼎泰豊のものに近付いた・・・かな?・・・と思った。
その皮の柔らかさとスープの量が鼎泰豊を思い出させたのは、
空きっ腹だった事を差し引いても良い出来だった事を意味しているが、
同時に鼎泰豊の小籠包が確かに美味しかったのだ・・・と確認できる事にもなる。
食い物の記憶で場所を思い出すのは私の習性だが、
その味はどんどん美化されるものでもあるので、たまには修正のために出かけたい・・・とも思うのだ。
台湾かぁ・・・・
香り高き春茶(烏龍茶)を買いに行きたいなぁ・・・・
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