週末の夜、誰かと待ち合わせをする。
それは、仕事から開放されるための大事な儀式。
会社の事など全て忘れ、誰かと別の楽しみを味わう。
そうやって気持の切り替えをし、明日を担う気力を養う事が大切だった。
「休日」という概念が薄れ、誰かとドップリ付き合わなくなると、気持の切り替えが難しくなる。
だから「一人きり」というのは、良くないのかも知れない。
週末のバーには、そんな待ち合わせの果てに辿り着くカップルをよく見る。
そして、待ち合わせする相手のいない酒飲みも・・・。
行きつけのバーは、いつしかそんなシングル族ばっかりが集まるようになった。
一人でゆっくり酒を楽しみたい。
気持をゆっくりシフトしながら、じっくり味を楽しみながら・・・。
それは、
その日、その週にあった事を反芻し、
そして昇華してゆくための大切な時間。
そんな時間は、寂しさを紛らわす彼等の大騒ぎで、
失われるようになってきたのだ。
マスターに「帰るよ」と言うと、寂しそうな顔をされる。
でも、ただ酒を飲みに来ているわけではない私は、とうとう早帰りの理由を話す事にした。
「五月蠅くて、ゆっくりできないんだ。 酒が美味しくなくなっちゃうから・・・ね」と。
飲食店は、客層によってそのイメージが大きく変わる。
だから、店側はさりげなく客を選んでいる。
だが、最近の不景気は、そんな悠長な事を言わせないのだろう。
良い・・・と思っていた店に、無粋な客が押し寄せて雰囲気を壊していくのは、
前述した店に始まった事じゃないように感じる。
私としては、悲しい事なのだが・・・・
今日、行った店は、相変わらずの落ち着きがあった。
上品なカップルや、ちょっと元気な女性客、そしてクラブ関係者も・・・(^_^;)
「・・・ここのフードは美味しいよ・・・実際・・」
「ありがとうございます」
「しかし、さりげなく美味しいメニューを考えるよねぇ」
「いやぁ・・・99%のヒラメキと1%の努力で・・・・」
それこそが、若さだ・・・とバーテンダーに伝える。
彼は謙遜+冗談のつもりで言った事だろうが、美味しい食べ方を思いつくのは彼等の才能だ。
そして、少ない経験の中で、自分の出したい味が見えてきたからこそ、今それを出す事ができる。
経験は、そのヒラメキを続けて行く事。
そしてそれが枯れて出なくなった時、膨大に閃いた事を記憶に残しておけば良い。
記憶を元に作り上げているうちにまた、新たな閃きが生まれるだろう・・・・とも。
写真を撮る事は、その閃きに似ている。
風景を見た瞬間に感じる事を、素直に切り取るだけの行為は、
瞬間に感じる事が無ければできない事。
最近、あまり風景を切り取らないのは、
感じられる精神状態では無い事を知っているからで、
無理に撮る意味の無さも知っているからだろう。
閃き・・・か
ここのところ、忙しいという事に甘え、
感じる心を研いでいなかったのかな・・・・と、思った。
ほんのちょっとの会話に、
日々悩んでいる事に対する答えが転がっていたりする。
要は、それに気付くかどうかって事か・・・・。
|