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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

焼肉

焼肉を初めて食べたのは小学生の時。
その頃肉と言えばクジラ、運が良くて鶏肉・豚肉、後は変なタレに浸かったマトンだった。

母の友達が突然その単語を口にした時、肉焼いて食べるだけなら家でいいじゃん・・と思ったが、
「ご馳走してやる・・」の甘い誘いに弱い母子は、その言葉に従ってしまう(^_^;)

福富町あたりにあった店は何だか豪華に見えたが、独特のニンニク臭い匂いが充満していた。
しかし、なんとも言えず美味しそうな匂いに感じ、
子供心に「ついてきて良かった〜」と思ったのは言うまでもない。

生まれて初めて食べた焼き肉は、多分初めて食べた牛肉でもあり初めて食べたカルビ&ロースだったはず。
甘いタレとご飯が合って、肉よりそっちをイッパイ食べたかったのは、間違いなく肉食に慣れていないせいだろう。

自分で稼ぐようになって、焼肉を食べにいったのは「食べ放題」の店。
「お一人様1000円で食べ放題〜♪ だけど、取ったモノは全部食べてください・・」
と言われて肉を取りに行くと色々な肉が並んでいるが、どれがどんな肉だか解るはずもない。
勿論、質より量の年頃だから、片っ端から食べてみたのだが・・・・。
やっぱり、最初に食べた焼肉の味に追いつくモノではなかった。
(もっともその頃、カルビって単語も知らなかった)

きっと安いから、良い肉じゃないんだろう・・・と自分を慰めつつ、
普通の焼肉屋のショーウィンドウの値段を眺めては溜息をつく。
(一皿が安く書いてあっても、一人前で足りるわけが無いのは知っていた)

いつかは腹一杯焼肉を食えるようになろう・・・と自分に気合いを入れつつ、
そんな日が来るのだろうか・・・と不安にもなっていたのは、将来をイメージできない若さ故・・だったのか。

ある日、先輩に連れられて行ったのが「関内苑」だった。
関内駅から歩いて5分位の所にある店は、ちょっと綺麗な店構えでいかにも高そうだった。
しかし、先輩の誘いである。 当然割り勘という事は無い・・・だろうが、それでも心配になる。

「あのぅ・・先輩・・・、こんな高い店、と言うか焼肉の店自体入った事ないんですが・・・」

「心配すんな!」

ありがとうございます。
心おきなく焼肉、頂かせてもらいます。

そして食べた焼肉の美味さに痺れた・・・。


今日は、それ以来殆ど来ていない「関内苑」で友達と焼肉を食べた。
20年前、恐ろしく高い・・と思っていた焼肉は、勿論今でも高めなのだが
手が届かない程では無くなっている。
(それでも一皿あたり1000円オーバー)

カルビとロースをサンチュウで巻いて食べる。
生ビールを飲みながら。

何だか、妙に美味しい。
肉の旨味もさる事ながら口当たりが柔らかく、匂いも穏やかでかつ食欲をそそるのだ。
タレ関係は全体的に甘く辛みが抑えられていて、肉自体の味とケンカしない。

例の問題以来、焼肉屋は随分苦労していると聞いている。
牛肉離れは深刻で、値段を大幅に下げるか質を向上させる事で、
客をつなぎ止めようと躍起になっているのが、よく見える。

この「関内苑」の肉は、普通一皿食べたら飽きるはずの肉が、
二皿食べてもまだ食べられそう・・・と感じさせる上質なもの。
これもひょっとしたら例の件対策でそうなっているのかもしれないが・・・・。

カルビは霜降りでロースは焼いても固くならない。
思わず追加して一人あたり二皿をペロッと平らげた(^_^;)

〆は手打ちの冷麺を食べたが、ここの麺は受注生産だとかでオーダーしてからちょっと時間がかかる。
食べてみて感じるのは、少しラーメンの様な香り(かん水か?)がする事と、
麺の腰が強すぎず弱すぎずで気持ちよい歯ごたえを与えてくれる事。
スープは好みに合わせて自分で酢を足すのだが、美味しいので酢を入れる事を悩んだ位だ。

知らず知らずのうちに、肉を遠ざける食事になっていた。
懐かしい事を思い出したりする食事なんて、そう滅多にある事じゃない。

それほど「無意識にそうしてしまう事」って、実は多いのかもしれない。


横に座ったオヤジが「特上カルビと特上ロ−ス・・この上タンも・・・」と威勢良くオーダーしてる。
今時、豪勢じゃないか・・と思って見てみれば、金無垢のロレックスに白っぽい麻混スーツ。
これで同伴した女性が年齢不相応の若さで美人だったりしたらはまりすぎだが、どうやら彼の夫人らしい。


元気のある奴は、元気のある格好して元気の出るモノを食っているんだな・・・と、思う。

コッチも、焼肉食って元気出すゾ・・・と、心の中で吠えてみた(^_^)

 
 
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