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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

ここは横浜だぁ!

反町にも「東京っぽい店」が一軒ある事は、随分前から認識していた。

店は全面ガラスの構えを持って、バーカウンターとテーブル席&ソファー席が見える。
バックバーは四角く区切られて、その空間にはワインボトルが一本ずつディスプレイされている。
照明は暖色系でやや暗く、店の前には外車が停まっていたりする・・と言えば伝わるだろうか。

いつも客が入っているから、それなりのモノは有るはずだ・・・と思いながら、
なかなか足を向ける事が無かったのは、その東京っぽさが鼻についてただけの事。
元より、クオリティの良さげな匂いはこっちのアンテナにビンビン反応していたし、
一回は襲撃しようとしてはいたのだ。(その時はパーティー貸し切りで×)

アポがドタキャンとなって、思わぬ早い帰宅(と言っても20時過ぎだが)ができたので、
ふらっとその店に行ってみた。

KOTOHOGI 045-317-5517

店の外に、おすすめメニューのボードが出ていて、
この店が食事、それもシーフードに力を入れている事が読んでとれた。

店内は、ちょっとチャイニーズ風の木の机と椅子や、アンティークっぽい家具などが置かれ、
表から見るより奥行きのある作りとなっていた。(奥には、パーティーに使えるサイズの部屋もある)

しかし・・・・、自分の姿に違和感を感じるほど、この店の客は揃ってダークスーツを着ているのだ。
(勿論私は、カットオフ+ジーンズ+エンジニアブーツだ。おまけに袖にフレアーパターンが入っている)

店長らしきスタッフが丁寧に応対してくれるが、一瞬躊躇したのがわかる。
しかし、ギラギラしたシルバーのリングやブレスレット、時計や看板を見て「小僧ではない・・」と判断したらしい。
二人掛けのテーブルに案内してくれた。

本日のおすすめから「甘エビと平貝の刺身」
スターターから「アコウ鯛の生湯葉巻き揚げ」「シーザーサラダ」
そして「穴子とズッキーニのカリフォルニアロール」
とオーダーする。
(食いきれるか自信は無かったが、この手の店は量は少ないはず・・・と)

客層は若い。
20代後半から30代といった感じ。
揃いも揃って男はみなチャコールグレーのスーツを着ているのが、妙に感じる。
テーブルには小皿と箸がセットされ、小皿には紙ナプキンが置かれている。
飲物リストには、情けない程のアルコール飲料が並び、それに反してワインは豊富に用意されていた。

要は、ワインを飲みながら和風創作料理に近いモノを食べる店らしい。
しかし、完全なレストランとは言いにくいメニューだから、ダイニングバーに近い形なのだろう。

最初は、生ビールを頼む。
店長が丁寧にサーバーから注いで、スタッフを呼ぶがスタッフは反応しない。
おやぁ・・・と思うが、彼自身がすっと持ってきた。
ビールの状態は良く、注ぎ方も上手な方だ・・・と思う。
しかしその後が問題だった。

「お通し」の類が出るのかな・・・・と思ったが、その気配が無い。
と言うか、料理が出てくる気配が無いのだ。
店は殆ど満席に近く、奥の部屋ではパーティーが開催されているからだろうが、それにしても・・・。

ビールをチビチビと飲んで半分位になった頃、
ホタルイカ一匹と青菜のお浸しがちょっとだけ絡まった「お通し」が出る。
既に店に入って20分以上経っているのにやっとかい??、とツッコミたくなるが、
この後、順当に料理が出れば良しとしよう・・・と箸をつける。

しかし料理が出ない。
仕方がないので、フロアスタッフを観察していたら、ある事に気が付いた。

恐ろしく、気が利かないのだ。

店長がビールを注いで、フロアスタッフを呼ぶ。
ちっとも反応しないから、綺麗に盛り上がった泡がどんどん落ちていく。
店長は他のドリンクを作りあげて、スタッフが持っていってないビールを見つけ、注ぎ直す。
そしてまた、スタッフを呼ぶ・・・・。

忙しいから・・・という事を割り引いても、サーブするテンポが遅すぎる。

こりゃ、待たされるなぁ・・・と呆れながら、さらにスローペースでビールを飲む。
もう炭酸が飛んで美味しくない・・・と思いながら、もしかして嫌がらせか?とも思い出す。

そうかい、この店に俺のような格好で来てはいけないのかい・・・・と。

入店してから40分を過ぎた頃、やっと最初の料理「シーザーサラダ」が出た。
パルミジャーノはまともな味だが、ドレッシングが少し辛い。
若者向けの味?・・・と思いながら、その割りには量の少なさに驚いてしまう。
(値段的には1000円を切っているので、この量は想像できていたが)


ボ〜ッと立ちつくしているフロアスタッフにグラスワインをオーダーする。
(コレなら、気が抜ける事はない・・・・)
出された赤ワインは、カリフォルニア系のフルーティーな味。
飲みやすく、美味しいモノ。

そして待つ事15分、次の「アコウ鯛の生湯葉巻き揚げ」が出た。

鯛の身を紫蘇と生湯葉で巻いて揚げたものが二本、斜めに切って皿に盛ってある。
鯛には塩が強すぎるほど効いて、何もつけずに食べるスタイルとなっているが、
刺身の前に揚げ物やサラダを出すのは何故だろう・・・と少し考え込んでしまった。

油はゴマ油を少し混ぜてあるようで香りは良いが、
塩辛いのが残念なのと、合わせる酒の中に日本酒の設定が無い。
メニューの中は殆どシーフードが大半を占めるのに、何故なのか解らない。
(貝や海老等は、その状態によってはワインを不味くする可能性だってある)

さらに待つ事15分、やっと「甘エビと平貝の刺身」が出る。

大ぶりの甘エビ8本(頭付き)と平貝のスライスが4枚(厚さ不揃い)
どこが本日のおすすめ?と尋ねたくなるほど、普通の味。
甘エビが食べにくく、指で摘んで食べるしかない。(箸で頭から身を抜くのは不可能だった)

1品目が出てから、食べ終わり時刻から何分かかって次の料理が出るか
を計っていたから、このテンポは想像できた。
もうこの時点でご立腹寸前の感情問題は、半ば諦めの境地へと変化していたのだ。

どうせまた、15分以上は待たされるんだろう・・・・と。

そして10分も過ぎた頃、「穴子とズッキーニのカリフォルニアロール」が出る。
ツメとマヨネーズが格子状に振りかけられた皿に、裏巻きが一巻き八等分にスライスされて盛られている。
(表面にはゴマがビッシリとついていた)

・・・っざけんなよぉ! 
この量は何なんだ?と言いたくなる位の謙虚さ。
穴子の柔らかさも脂のノリも感じられず、
ツメの甘さとマヨネーズの酸味で何となく食べられる感じ。

食べ終わった瞬間、席を立つ。
店長が何も言わなければ文句を言おうと、心に誓ってレジに向かう。

「大変お待たせして、申し訳ありませんでした。」

と先に言われてしまった。
(解ってたんかい? もしかして、ケンカ売ってたんかい??)

隣に座ったスッチーが頼んでいたパスタも30分以上かかって出てきていたから、とても忙しかったのだろう・・・とは思う。
しかしこんなホールスタッフでは、店長がどんなに頑張っても客は退いていくだろう・・・とも感じていた。
ただ、パスタはなかなかのボリュームに見えたから、次回は最初からソレとビールだけに徹してみようと、思っている。

そこそこの味(但し、辛さは強め)だから、空いていて話ができる環境だったら店を教育できるかも知れないのだ。


もっとも、次に行った時同じ態度を店が取ったら、
私は「来ては行けない客」として扱われている事が解るはず。

それはそれで試してみたい・・・と思っているのだ。


横浜において、格好で客を差別するような店は全部廃れている。
もし廃れずに生き残っていけるのなら、横浜自体が変わってきている・・という証明になるだろう。
つまり、格好で客を判断する東京のような店に入った私が馬鹿だった、という事がわかるだけではなく、
横浜の「らしさ」が廃れだした・・・という事も解るのだ。


しかし、気持が収まらないので、「ロブロイ」へ行って飲む事にした。

マスターに「KOTOHOGI」の事を話すと、さすがは同業種。
色々と面白い事情が解ってきた。

・帝国ホテルの人と知り合いあの店を作ったという事。
・店長はまだかなりの若さだという事。
・現在の板長は寿司屋出身だという事。
・有名人が多く訪れるという事。

思わず笑ってしまった。
どうりで、東京っぽいワケだ(^_^;)

東京にありがちな集客方法(有名人を呼ぶ・客のクラスを選ぶ)と、
今時のツボを押さえた営業方針(単価を抑えてそこそこ美味しく、量少な目で多売をねらう)。

板長が寿司屋出身なら魚介料理が多いのは当たり前。
そして、その料理に本当に合う酒が無い事を気にしない客層は、
ソレ風の調度で錯覚させられる年齢層とピッタリ一致する。

若いくせに、ダークスーツで飲みに行くような人種は格好つけるのに精一杯で、本物を知らないのは当たり前。
客層のコントロールとイミテーションの雰囲気だけを揃えれば、ステイタスすら感じるだろう。

そこへ、得体の知れない風体で現れ、文句までつけるなんて・・・・ねぇ(^_^;)


さぁて、ここは横浜だ。
俄然、ファイトが湧いてきた。
もし私の格好で判断しているのなら、それなりの「お返し」はしてみたいじゃないか(爆)

 
 
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