同發本館に、8人で昼飯を食いに行く。
中華料理の基本は、10人円卓で・・・と、かなり昔に聞いた事があるが、
かの有名な聘珍楼の元総料理長「周 富徳」氏によれば、8人で考えるのが横浜中華街流だとか。
そして、中華街で作る料理は全て、中華風日本料理だよ・・・とも言っていた。
今、日々食事をしていて思うのは、1皿あたりが4人分位に見えるって事。
この横浜中華街においても、
祖父・祖母・父・母・子×4なんてのが当たり前な世帯は、もう無いのだろう。
中国独特の家族主義も3世4世の代になると変わってくるのか、
一皿のサイズと値段はどんどん小さくなっているように感じる。
店も、4〜6人掛けのテーブルが多くなり、円卓はどんどん減っていく。
老舗と言えども、その傾向は拭えない。
勿論この同發本館も、8人なんてサイズになると対応が難しく、
最初から3階へ行け・・・となった。(ここには、宴会用の座敷がある)
やっぱりなぁ・・・と思いつつ、靴を脱がなくてはいけない面倒さと、
主の田中さんに会うのに気合いが必要で、ちょっとばかり構えてみたりする(^_^;)
「お〜う よう来たなぁ! 302にはいれぇ・・・」
「お〜、よう来てやったぜぇ」
「何食うんだ?」
と相変わらずの良い調子。
もう70に手が届いているんじゃないかと思える風貌だが、元気な事この上ない。
古くからこの店にいる人の中でも、とうとう最古参って感じになってきたが、
憎めない素敵なオバチャンなのだ。
混んでいる時は、田中さんが仕切ると見事である。
ランチのセットを頼んでも、料理だけ出て待たされる・・・なんて事は殆ど無い。
「オラ!料理出てんだから、さっさとメシよそえ!」
「おー!一人食いっぱぐれてんのがいるんだから、とっとと作れぇぇ!」
と客席にまで響く声。
でも、そのお陰で、多人数で行っても誰かの分が出ないで・・・という事態は極少なくなるのだ。
常連には優しいのはもう伝統みたいなものだからか、サービスが良い=量が多いみたいな事もある。
そして田中さんにかかると、それはもう徹底的だったりするのだ。
今日のオーダーは「海老炒飯」
炒飯に海老がタップリ入った、お気に入りの一品。(840円)
ドン!と出されてビックリ。
どう見てもいつもの1.5倍位の量なのだ。
(蕎麦屋の丼にすり切りイッパイ炒飯を詰め込んで、皿の上にあけたような丸い山)
ありがとうございます。
勢いで、頂かせてもらいます・・・・と
クコの実入りのスープと共に、一気に食べさせていただきました。
毎度思うのは、この極普通の炒飯が極普通に美味しい事。
そして、これでもか・・・と入っている海老のプリプリ感。
(もうちょっと美味しい海老だったら言う事は無いのだが)
やっぱり、基準の味・・と言うか、ボーダーラインの味なんだよなぁ・・・と改めて感じてしまう。
職場の宴会を中華街でやりたいが、何処かオススメか?と尋ねられて紹介するのは結構難しい。
味の好みや好き嫌いでも色々あるが、それより中華街を良く知っている人間に尋ねる・・・という意味で、
何か面白いモノを相手が求めている事が解っているからだ。
「何人?」
「20人位かな」
「・・・じゃぁ、均昌閣本館はどう?」
「美味しいの?」
「と言うより、20人は座れる大円卓がある」
「ふえぇぇ・・・、でもそれじゃ反対側の人と遠すぎるかも・・・・」
「面白いと思うんだけどな」
「う〜ん・・・」
そんなやり取りの後、ヤツは極普通の部屋を予約して宴会をやったのだが、
宴会後、参加者に大円卓についてきいてみたらしい。
「どうだった?」
「割と安かったし料理数も多かったよ。結構美味しかったし、好評だった。」
「そうか、紹介したかいがあったな・・」
「で、さぁ・・・」
「?」
「そっちの言ってた円卓の事、皆にきいてみたんだ」
「・・・したら?」
「職場の皆は、大円卓に座ってみたかったってさ・・・」
意外にニーズって、そんなものかも知れない(^_^;)
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