ある日突然、大事にしていたものを失う。
予期せぬ事、しかし確実に自分のせいで。
あるべき所にあるべきモノが無い。
むなしくその喪失した形だけが存在している。
あの時そうしなければ・・・
あの時気が付いていれば・・・・
それは失って初めて考えられる事だから、後悔ほど苦く辛いものはないだろう。
どうやってこの喪失感を埋めてよいか解らず、
時には飲んだくれ、時には途轍もない速度に浸り、
時には要らぬ摩擦に身を置いて、生きている事すらを哀しんだりする。
それでも涙は乾き、確実に朝はやってくる。
抜け殻になった自分は、抜け殻のままかも知れないが、
時は当たり前に流れ続け、自分もまた変わっていくのだろう。
今、全てが空っぽになってしまったとしても、
時はやがてそれを癒し、消えない傷より大きなモノが訪れもする。
その大きなモノに合わせて「より大きな自分」に変化できるのは、
生きていくという行為を続ける事で可能になる事。
気がつけば、大きすぎると思った傷が些細なモノに見えるように、なれるはず。
だから悲しむ事はない。
生きていくという事は、そういう事だ。
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