「看板って何ですか?」と尋ねられ、少し戸惑った。
*看板 カラーとかエンブレムとかも言う、背中に貼り付けるパッチの事。
チームのマークやロゴ、活動地域や本拠地を示すパッチ(ボトムロッカーと呼ばれる)がフルセット。
一気に全てのパッチを与えないチームもある。
(HAでは、準構成員になるとボトムロッカーだけが与えられるとか)
それは、メンバーの証。
だから何?ときかれても、どう答えて良いかわからなかった。
彼は、あるクラブの看板を背負うライダーだから、
何故そんな事をきくのだろう・・とちょっと不思議に思った。
話をしているうちに見えてきた事は、
新しいメンバーを迎えるにあたっての内紛があって、
気にくわない連中がクラブを抜ける・・・とかどうとかの問題が起きたって事。
彼は、背中に背負った自分のケジメ(看板)を大切に思い、その重さを意識して走り続けている。
だから、たかが新メンバーについての意見交換ごときで、
同じマークを捨てると言ってのけたメンバー達を許せなかったらしい。
確かに、目を引くモノ。
明らかにコッチ側だと、意味するモノ。
だから私は
「生き方を象徴する記号だ」と、
彼に伝えた。
生き方を象徴できるもの・・・・
それは簡単に言えて説明に困るモノだろう。
確かに、看板を単にチームマークとしてだけで捉えている人もいる。
そんな人にとってはユニフォーム代わりの存在でしかない。
チームが嫌いになったからユニフォームを脱いで抜ける・・・という事は、
そんな人達にとっては当たり前の事。
その意識のズレが価値観の相違を生んで、彼の神経を逆撫でしたのだろう。
看板を背負っていると、様々な挑発を受ける。
警察や車は当たり前で、ライダー達からも「ご愛敬」が飛んでくる。
それを受け流しながらマイペースで行く為には、どっしりとした自分がないといけない。
かなりの距離をかなりのペースで走る彼には、既に自分のやり方が出来上がっている。
ただ、やんちゃな性格を封じる為に、仲間への責任を接着剤にした看板を背負い、
生き方(やり方)を固定する必要があったのだろう。
ユニフォームとして捉える輩は、そのチームの持つイメージにプライオリティを感じている。
だから、彼等に仲間意識は無く、責任感なんてものも存在していない。
だから、棲みにくくなったチームには魅力がなくなるのだ。
だから、そんな輩を仲間と思う必要なんてない。
ライダーは基本的に個。
群れて走っていても、基本的に一人きり。
それを強制的に群として固める事は不可能だ。
長続きするチームは、集団としての行動を少なくしているはず。
(この場合の長続きとは、何年の類でなく何十年単位でのモノを言う)
生き方として背負う気持があるならば、同じ生き方をしている者とだけ連めば良い。
そしてその仲間達とは、きっと一生変わらずに走っていけるだろう。
じゃあ、ユニフォームが擦り切れて投げ捨てる連中は?
きっと、バイクも投げ捨てているんじゃない?
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