桜があっと言う間に満開になって、
ディレクター不在のまま桜押さえのロケに出かけた。
ちょっと曇っていても、アイリスをオーバーめにして明るさを演出すれば、
ソメイヨシノはかえって綺麗に見えたりする。
だから、雨が降る前に駆け足で撮影した。
谷戸坂から近代文学館前、山手本通りと元町公園、
とくればもう山手の定番、桜が抜群な所だ。
今にも泣きそうな空にも関わらず、観光客&花見客は多く、
カメラで撮る人やスケッチをする人達が山ほど居るのにはビックリ。
花を愛でる人達の顔は何だか穏やかで、
無粋なテレビカメラにも寛大な態度で接してくれる。
こっちはそれを良い事に、長回しをさせて頂いた。
山手本通りを撮影している時、横断歩道をウェディングスタイルのカップルが通る。
その後から黒服のカメラマンがついていく。
山手の風景をバックに二人の写真を撮るのだろう・・・・・。
アッ
そうか・・・・
今から26年前、プロの端くれになりたくて飛び込んだ写真館が、
その仕事をやっていた。(まさに見習いとして始めた頃の事)
その時知り合った人について、ヤマハの仕事をするようになったのだが、
原点として心のどこかに残っていたブライダルフォト。
あんな時代があったなぁ・・・と、懐かしく感じた。
仕事で写真を撮る事は、自分の視界を切り売りする事。
自分の見える、自分が見ているモノを、売り物にしていいのか・・・と
若すぎる世間知らずは、真剣に悩んでいた。
そして、写真はキッパリやめようと決心して、普通の仕事に入ったハズなのに、
気がつけばテレビカメラを担いだり、スチールを撮ったり・・・(^_^;)
表現する事の楽しさ、難しさを知って、
伝える事の大切さを理解して、
その場が与えられた時、
自分をさらけ出せる快感も覚えてしまった。
だから今、こうやってカメラを扱っていても、
楽しいんだな・・・・と思い出す。
まったくの偶然で、突然時間か遡り、
そして今の自分を見直す事ができる。
それだけで、今日ロケに出られて、幸せだった。
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