山田屋へ行く。
前から約束があって、今日は味わうより話がメイン。
しかし、そんな時だって、美味しく味わいたい(^_^;)
だから毎度の如く、板長にお任せになるだろう・・と、
予約を取ったカウンターに向かった。
珍しく先客が居る。
歳の頃は60代か・・・というカップル。
カウンターのど真ん中がふんぞり返ったオヤジで、
その奥の女性がタバコを吸っている。
赤茶色に染めた髪が、ちょっと水商売系にも見せている。
会社の上級職が飲み屋のママを連れてきた・・・という風、
と言えば伝わるか。
5人しか座れないカウンターでいきなりタバコかよ〜と思うが、
先客で食事後だったら文句も言えない。
吸っているのは女性だけだから我慢するか・・・と、
何となく彼らの料理に目を配る。
所謂つまみ系のセットとウーロンハイ。
そして、もうタバコ。
こりゃ寿司の合間に吸う程のスモーカーかも知れない。
あまり酷い場合は、途中退場するしかないかな・・・。
こちらはふたりとも思いっきりカジュアルで、しかも実年齢より若く見える。
予約の席に座る二人が若造に見えるから、
彼らにしてもどんな奴らと興味を持っているように見える。
板長は、最初の一品を小鯛の握りにした。
何も言わないのに握りを出すのを見て、彼らはこちらが常連だと気づいたようだ。
加茂鶴大吟醸を飲みながら、テンポ良く出される握りを間髪入れずに食べていく。
イカ、アジ、シャコ(小柴)、車エビ、タコと続いた頃、サザエの壺焼き風が出される。
こちらが握りを食べるのを見て、彼女はタバコを控えるが、
美味しそうなモノが出ていくのはちょっと面白くないようだ。
オヤジはトロを注文し、彼女は板長に聞きながら小鯛を頼む。
が、オーダーと同時にサザエが出たのを受けて、キャンセル。
また、酒とつまみのスタイルに戻ったようだ。
寿司屋で酒を飲む。
ネタをつまみに切ってもらって。
それはとても贅沢な楽しみ方だと思う。
でも美味い魚は美味い酒と合う物。
酎ハイでタバコを吸いながら楽しみたいのなら、
そういう店へ行くか、もう少し広い店に行って欲しい。
腹が膨れた彼女はまたタバコを吸いだし、
私の顔は少し引きつった。
5名しか座れない・・・という空間で、
香りまで楽しみたい物を味わうには、タバコは乱暴すぎる。
重役然としたオヤジはタバコを吸わないから、
こっちの反応が解ったのかも知れない。
その一本を彼女が吸い終わったら、すぐ席を立った。
久々に、空気を読む客に出会えたように思う。
人を使う立場にいるのだろう彼は、
こちらの話を横耳で聞いていて、私と連れ合いの立場とを察し、
また飲むより味を楽しんでいる事も解ったのだろう。
もっとも、自分達よりはるかに通っている事も解ったろうから、
あまり気分が良くなかったのかも知れない・・・が(^_^;)
ゲソを軽く炙ったつまみに続いて、平貝の握り、ウニを千枚漬けで巻いた握り、
マグロ剥き身とネギの巻物、刺身用のサクをタタキ状態にしたフグの握り、
穴子・・・と続いた。
すっかり腹イッパイとなって、いつものバーへ移動する。
久々の贅沢の締めくくりは、フルサイズシガーでまとめたい(^_^)
シガーを嗜むようになってから、タバコ吸いがその匂いに反応するのが解ってきた。
それを見ているとタバコを吸わなかった頃に、凄くその匂いに敏感だった事を思い出す。
どれほど不快な匂いを振りまいているかを理解していないだろうタバコ吸い達が、
シガーの匂いに過敏に反応するのは何故だろう?
それは、紙巻きタバコは吸う気になれない私には、よく解る。
匂いに対して順応する能力が人間にはあるから、
慣れている匂いはマスクされて解らない。
一日2箱以上吸う人は、ニコチンが必要で吸っているのであって、
嗜好品ならではの豊かな香りなんて、どうでもよかったりするのだろう。
異質で、強い匂いに反応するのは、人間として当たり前に持つ能力。
タバコ漬けになっている人間にとっても、その匂いは強いといういう事だ。
自分がタバコを吸っていて、
シガーOKの場所で匂いが嫌だとは言えないはずなのに、
嫌がる人は多くいる。
だから吸う側としては、先客に対しては気を使うし、
客密度も考慮しながらサイズを決めたりもしているのだが・・・。
わがままな人間心理を遊ぶのも、バーの楽しみの一つらしい。
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