サイト内検索
AND OR
Photo Essay
Text Essay
Desktop Gallery
Guestbook
Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

再見

ずうっと好きだった。
片時も忘れた事なんて無かった。

街を歩くとき、気がつけば君に似た人を目で追ってる。
好きになる女は、どこか君に似ていた。

人を好きになるのに、理由なんて無い。
目があった瞬間に、お互いが認めてしまうものが、本物だろう。

しかし、そういう出会いがあったって、そのまま手を繋いで歩いていけるとは限らない。
その時その時の環境と感情が、たった1センチずれただけで離れてしまう事もある。

15年前のクリスマスイブに、一世一代のプロポーズをして、
なのに激務に振り回されて愛情とプライドを計りに載せた。

好きなのに別れてしまう事。
その時は納得して諦めて、記憶の中から削除しようとして・・・。

色々な道を歩いてみた。
遊んで溺れて怪我をしてへこたれてもみた。

でも、忘れられない・・・という事は、
いつの間にか結婚できないという生き方になってしまう。

何故か彼女も、同じ道を歩いている・・・と、風の便りに聞かされる。
その時少しだけ、嬉しく思ってしまう自分がいる。
なのに、会いに行く勇気が湧いてこなかった。

時は止まる事を知らないから、
日々の仕事に追われる事で、気持と想いを風化できると信じていた。
でも、心の中でアイツは、絶対に消えようとはしない。

だから、色々な出会いがあっても、いつも何処かで冷めていた。
そして、尽くす事はできても、癒される事は無かった。

辛い時、どうしても声が聞きたくて、留守電の応答メッセージを聞いた事もある。
何度捨てようと思ったけれど捨てられなかった写真もある。
それらだけが、弱虫な自分を救ってくれると解っていたからかもしれないが、
気がつくとアイツの想い出に癒されていた。

仲間達は、そんな二人を知っていた。
だから、集合する時、必ず二人が会わないようにセッティングをする。
しかし、いつかはその道を重ねてあげたいと、誰しもが思っていたようだ。

先日、久々にそんな仲間達が集まった。
横浜在住が、中華街の店をセッティングする。
出席者リストを見て、彼女の名前が無い事を確認する。
ほっとしつつ、がっかりしつつ・・・。

しかし、彼の地より到着するメンバーを石川町に迎えにいくと、見慣れない奴がいる。
認めろよ、アイツだよ・・・。
解っているんだろ・・・、あんなに会いたかったろ・・・?

15年ぶりに再会した。
一目みた瞬間、彼女だと解っていた。

驚きと、畏れと、喜びとが入り交じる。
目の回りが熱くなり、胸が高鳴る。

忘れていたよ
好きな女に会って、ドキドキする事なんて。

お前、歳喰ったなぁ
でも、相変わらず綺麗だなぁ
この声が聞きたかったよ。
ずっとずっと、本当のお前の声、聞きたかったんだよ。

皆、二人の再会を望んでいたらしい。
結局、独身を貫いた二人。

皆、心の中で呟く。
「再会できて、よかったネ」

意地っ張りがやっと、楽になれる時が来たらしい。
もう、眠れない夜は訪れない。
愛し合うお互いの腕で、凝り固まった歴史を投げ捨てろ。

人生は捨てたもんじゃない。
生きていれば、幸せを感じられる日も訪れる。


という話を、久々に酒を飲みながら、友達と話した。


ガンバレ友よ。
君達のレースは、やっとスタートしたんだね。
上手くゴールできたのなら、記念写真を撮ると約束するよ。

 
 
サイト内の画像・テキスト等の無断利用・転載は禁じます。
Hisashi Wakao, a member of KENTAUROS all rights reserved. / Web design Shigeyuki Nakama
某若夢話は横浜飛天双○能を応援しています。