ずうっと好きだった。
片時も忘れた事なんて無かった。
街を歩くとき、気がつけば君に似た人を目で追ってる。
好きになる女は、どこか君に似ていた。
人を好きになるのに、理由なんて無い。
目があった瞬間に、お互いが認めてしまうものが、本物だろう。
しかし、そういう出会いがあったって、そのまま手を繋いで歩いていけるとは限らない。
その時その時の環境と感情が、たった1センチずれただけで離れてしまう事もある。
15年前のクリスマスイブに、一世一代のプロポーズをして、
なのに激務に振り回されて愛情とプライドを計りに載せた。
好きなのに別れてしまう事。
その時は納得して諦めて、記憶の中から削除しようとして・・・。
色々な道を歩いてみた。
遊んで溺れて怪我をしてへこたれてもみた。
でも、忘れられない・・・という事は、
いつの間にか結婚できないという生き方になってしまう。
何故か彼女も、同じ道を歩いている・・・と、風の便りに聞かされる。
その時少しだけ、嬉しく思ってしまう自分がいる。
なのに、会いに行く勇気が湧いてこなかった。
時は止まる事を知らないから、
日々の仕事に追われる事で、気持と想いを風化できると信じていた。
でも、心の中でアイツは、絶対に消えようとはしない。
だから、色々な出会いがあっても、いつも何処かで冷めていた。
そして、尽くす事はできても、癒される事は無かった。
辛い時、どうしても声が聞きたくて、留守電の応答メッセージを聞いた事もある。
何度捨てようと思ったけれど捨てられなかった写真もある。
それらだけが、弱虫な自分を救ってくれると解っていたからかもしれないが、
気がつくとアイツの想い出に癒されていた。
仲間達は、そんな二人を知っていた。
だから、集合する時、必ず二人が会わないようにセッティングをする。
しかし、いつかはその道を重ねてあげたいと、誰しもが思っていたようだ。
先日、久々にそんな仲間達が集まった。
横浜在住が、中華街の店をセッティングする。
出席者リストを見て、彼女の名前が無い事を確認する。
ほっとしつつ、がっかりしつつ・・・。
しかし、彼の地より到着するメンバーを石川町に迎えにいくと、見慣れない奴がいる。
認めろよ、アイツだよ・・・。
解っているんだろ・・・、あんなに会いたかったろ・・・?
15年ぶりに再会した。
一目みた瞬間、彼女だと解っていた。
驚きと、畏れと、喜びとが入り交じる。
目の回りが熱くなり、胸が高鳴る。
忘れていたよ
好きな女に会って、ドキドキする事なんて。
お前、歳喰ったなぁ
でも、相変わらず綺麗だなぁ
この声が聞きたかったよ。
ずっとずっと、本当のお前の声、聞きたかったんだよ。
皆、二人の再会を望んでいたらしい。
結局、独身を貫いた二人。
皆、心の中で呟く。
「再会できて、よかったネ」
意地っ張りがやっと、楽になれる時が来たらしい。
もう、眠れない夜は訪れない。
愛し合うお互いの腕で、凝り固まった歴史を投げ捨てろ。
人生は捨てたもんじゃない。
生きていれば、幸せを感じられる日も訪れる。
という話を、久々に酒を飲みながら、友達と話した。
ガンバレ友よ。
君達のレースは、やっとスタートしたんだね。
上手くゴールできたのなら、記念写真を撮ると約束するよ。
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