SERIOUS

世の中どうにも不景気で、会社においては経費をどう削るか・・・、
という事にやっきになるらしい。

私の会社でも同じような傾向が如実に現れ、領収書のチェックは当然厳しくなる一方。
それにつれ経理と現場の空気は、今にも雨が降り出しそうな空のように
重く暗くどんよりとした感じになっていくのだ。

堅実でならすＴ君が、深刻な顔をして経理の女の子の所に向かう。
誰しもが、普通なら通らないような領収書の相談に行ったのだと思った。

伏し目がちに経理まで歩いていった彼が、
思い切ったように彼女を見つめて、こう言った。

「あの、さぁ・・・・　
　古代の化石は何処へ行けばあるの？」

皆、頭の上に「？」を点けたような顔をした時、
彼女はニコリともしないでこう言った。

「空飛ぶ絨毯に乗って、＊＊＊の海を越えて・・・・・」

外で豪遊もできない給料しか払えないのは、別に我が社だけの事ではないだろう。
少ない稼ぎをカバーする、趣味と実益をかねるギャンブルの類も、
今の彼は忙しくて、まるでできないらしい。
だから、ＲＰＧにはまったのだろうが・・・。

不景気の寒風が吹きすさぶ中、そんな会話を聞いていると、
まだまだ余裕があるじゃん・・・と思える（笑）

しかしまぁ、そんな事を経理に聞きに来る方もどうかと思うけど、
それを当たり前のように答える方も、大したものだ。

呆れつつ、驚きつつ、でもちょっとだけクスッと笑えたので、
シビアな仕事でつり上がった目尻が、少し下がったような気がした。

家庭用ゲーム機、捨てたもんじゃない（爆）