9月2日、藤沢「遊行寺」
上々颱風のイベントに出かけた。
横浜でも35度を超えるような猛暑の中、バイクで一国を下る。
エンジンから昇る熱気が、まるで陽炎がたっているように視界を歪める。
黒のTシャツは汗を吸ってさらに黒くなり、その塩が幾重にも線を引いていく。
穴だらけの通気性の高いヘルメットも、こんな日にはあまりその効果が解らない。
海に向かう車をパイロンにして走り遊行寺に着いたら、既に会場は出来上がっていた。
このイベントの「祭り」というコンセプト通りに出店が並び、
客席はなく区切られた区画に勝手に座ったりスタンディングしろ・・・というスタイル。
開場前だというのに早めに集まった観客達は、出店でビールや焼きそばなどを買って食べていた。
このクソ暑い日に、目の前でビールを飲まれては我慢できるはずがない。
あっという間にビールを二カップ、飲み干した。(笑)
「遊行寺」は「踊り念仏」と言われる時宗の総本山。
由緒正しいお寺ではあるようだが、その境内を快く貸してくれる。
本堂の前にステージを作り、参道に向けてスピーカーや照明がセットされる。
空が夕日に染まり出す頃にライブが始まった。
屋外ライブにしては素晴らしい音響が、観客のテンションを盛り上げる。
空は青から茜に変わり、やがて夜の漆黒へと落ちていく。
スモークが焚かれ色鮮やかな照明が映える。
古いお寺の本堂が独特な舞台効果を生んでいる。
オールスタンディングの中、ビールを飲みながら聴く上々颱風は、
相変わらず元気でどこか懐かしい感じがした。
彼らはメジャーデビューしてからも、地道な活動を続けている。
積極的にチャリティーにも参加している。
そのためか、会場には多くの障害者が訪れていた。
それを見ると、ボランティア活動の重要性を否定するつもりは毛頭無いが、
障害者と健常者を区別する環境を、減らす事の方が大事だと感じさせられる。
(車椅子で入れるコンサートって、実際のところ少ないよな〜)
会場で飲んだくれ福祉施設職員とおぼしき自称40才の男が、
「こういうコンサート・・・さっいこぅ・・・」と叫びながら、踊りまくっていた。
翌、日曜日、
ひとっ走りしたくて首都高を一回りした。
Tシャツにジーンズのベストだけで、100マイルを越えるスピードでスラロームする。
風が強く、ネイキッドでも半車線飛ばされたりするが、
それより細かい砂が腕に当たって痛い事の方が気になる。
今、転がったら悲惨だなぁ・・・。
じゃあ、革を着て転がったら、怪我しないのか?
五十歩百歩だと自分に言い聞かせながら、でもあまり気にしないで走っている。
心の中では昨日聴いた上々の「小っちゃい事、小っちゃい事、気にしな〜い・・・」
という歌が流れていた。
バイクは、どうしても事故を起こすと、ライダーに大きなアクシデントをもたらす。
それが解っていても乗りたくなる人間は、ある意味で中毒なのだろうと思う。
12Rで全開して「つばさ橋」で空を飛ぶ奴も、
JISマークもつかないペラペラのヘルメットで両手両足おっ広げて走る奴も、
Tシャツ一枚でかっ飛ぶバカ(私)も、皆バイク中毒なのだ。
暑さが退いて空が高くなる。
いよいよライディングには気持の良い季節が到来する。
願わくは、死ぬまでバイクに乗っていたい。
H
|