中華街で冷やし中華を食べるのは、恥ずかしい事とされている。
何故なら、あれは日本料理と言われてしまう物だから。
汁無しの麺を出す所はあるが、それにはバン麺(字を忘れた)という名がある。
茹でた麺に油(ネギ油・ラー油等、店によって色々)をかけた物をそう言うらしいが、
香港ではオイスターソースをかけた物をロウ麺(これは字が無い)という名で出している。
冷やし中華は、バン麺の冷たいヤツに酢をきかしたものがルーツらしいが、
これは日本人考案の物で、中国伝来の物ではないようだ。
老舗の中華料理店では、時期が来るとメニューに載せるが、
この食べ物はどの店が作っても、似たような物になってしまう。
だから、極端に言えば中華街で食べる意味すら無いほど、代わり映えのしない品なのだ。
そんな中、いつも「中華街で一番美味しい冷やし中華はどこ?」と訊かれる。
内心、どこで食っても同じだし、そんな不味い物に高い金払うなんて、
食い物の味が解ってないんじゃない・・と呆れてしまう。
しかし、中華街に住んでいるような環境だからこそ、それでもましなヤツをと、
考えを巡らすのも事実。
で、今年も味チェックに食べてみた。
冷やし中華が美味しくないのは、あのスープのせいだと思う。
酢が強く、人工調味料が効いた、素材の味を殺す独特のもの。
あれを使った上で差別化をするなら、具の充実さと麺の旨さくらいでしか、できないだろう。
巷で良しとされているのは、「留仙閣」
ここは具に貝柱や蝦、木耳等が加わり、卵・焼豚・キュウリ・紅生姜などと相まって豪華に見える。
そして隠し味(ちっとも隠してないが)としてゴマ油が麺にからめてあり、風味を加えている。
久々に顔を出してみたら、食卓の3分の2は冷やし中華をオーダーしている。
この店は、高級広東料理と称しているだけに値段も高級で、それ故日々訪れる気にさせない店。
だから、どうしても冷やし中華が食べたい時以外がご遠慮申し上げている。
今年初の冷やし中華は、相変わらず具沢山の豪華さで始まった。
酢と辛子の味で味そのものがよく解らない状態ではあるが、大盛りをたのんだせいもあり、大変な量。
食っても食ってもあるって感じもするが、その多い麺に見合うだけ具も多いから、
飽きずにどうにか平らげられた。
食べてみればまあ許せるかな・・位の味だが、よそから比べればかなりまし。
スープの味が強すぎないから、具の風味もどうにか感じられる。
でも1100円(大盛り:お昼値段)はどうかなぁ・・といったところ。
日頃中華料理ばっかり食べていて、たまには違う物が食べたいと思った時には、いいか・・・な?。
冷やし中華は、やっぱり美味しくないって事を確認した日であった。
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