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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

ロケ隊

それは、北京料理店で起きた。

スキンヘッドにダボダボのTシャツ。
ぬうっと店に顔を出すとこう言った。

「人数が6で、荷物多いんですが、いいですか?」

図体がでかく目はぎょろっとしている。
見たところまだ若い感じだが、年齢不詳。
かといって遊んでいる感じでもなく、肉体労働者でもない感じ・・・。
テレビ屋にこういうの居るよな〜と思って見ていると、その次に名古屋方面の局の
ステッカーを貼ったテレビカメラを持つ男が続いた。

やっぱり・・・と思っていると、太めの音声マンと太めのディレクターが続く。
そして顔だけ化粧ばっちりの太めの大柄女が・・・。
制作2名(D・AD)技術3名(C・A・VE)レポーター1名の大名行列。
わざわざ名古屋から中華街のロケか・・・と、ちょっと呆れて見ていた。

しかし何故だか、テレビ屋だけは、姿だけで見分けがつく。
(匂いがする・・・というか)
同じような格好をしていれば向こうも気がついたはずだが、
生憎こちらは総務部仕様、解らなかったようだ。

「すいません、冷やし中華ありませんか?」
とさっきのスキンヘッドが言う。

ここは、中華街では珍しい本格的な餃子を出す店。
そういう普通の中華料理(日本人向け)は置いていない店で、
それはメニューを見ればわかる事なのだが。

「申し訳ありませんが・・・」
と店の人にやんわりと断られた。

中華街の取材に来たのなら、中華料理の勉強位するものだ。
冷やし中華が食いたいのなら、日本人向け中華料理を出す店へ行けばいい。
この店の餃子が食いたいと言う客が多いのに・・・
と思って聞いていると、さらにこう言った。

「冷麺無いですか?」 (言い方変えても、無い物は無いんだよ)

「生憎と・・・」

「じゃ、担々麺は?」 (メニューのどこ見たんだよ)

「エ!?」

「辛くてゴマの擂ったやつがかけてある・・」(だから、無いって) 

「申し訳ありませんが・・・」

「なんか辛いやつ無いですか?」(四川料理でも行ったら・・・)

「辛い麺はありません」(他の店行ってくれ・・・と言いたげ)

「じゃ、炒飯でいいや」(最初からメニューにある物を頼めよ)

取材に行くという事は、当然下調べをしてアポを取り、
放送番組にする上でどうしても現場でなくては得られない映像やコメントを
カメラや音声でとらえてくる事。

横浜の紹介で中華街に来たのなら、せめて4大中華料理の事くらいは調べるべき。
餃子は北京料理でしか出さないと知っていて、この店で鍋貼(焼き餃子)と水餃子、
蒸し餃子等を食べ分けてみる位の楽しみ方をして欲しい。

ラー油だって店でわざわざ作っている特製品で、
この店でしか味わえないハーモニーがあるのに・・・。

結局彼らは、チャーハンと焼きそばとラーメンでオーダーを終了した。

テレビ屋は、知らない事を聞くのが好きなはず。
どうでもよい雑学でも、人が知らない事を知っていて、
それを面白可笑しく料理して、番組に作り上げるのが仕事であり、生活の殆どでもある。

だから、雑学でも何でも調べ倒して、知ったかぶって取材に来て欲しい。
店に入るなり、メニューにない食べ物を注文したり、店に置いてあるガイドブックを
見入ったりと、調べて来ないと顔に書かないで欲しい。
(メニューに無い物を食べるためには、通って顔なじみになってからの事。
 店の得意メニューを無視して、一見のくせに勝手にオーダーすると、
 追い出されるのが常識的な扱いだったぜ、昔は。)

知らなかったら、店の人に聞けばいいでしょ。
聞く(インタビュー)のは仕事上得意なのだから。
なのに、傲慢さだけを振りまくから、テレビ屋は嫌われるんだよ。

有名タレントを使っていて、仕方なく人よけのためにアシスタントを用意したり、
時間あたりコストを下げるため(タレントギャラ)にカメラを2・3台用意するのは
まだわかる。
しかし、今時、6人のがかりの大所帯取材。
それを見ただけで、一昔前のバカマスコミ気取りである事はわかる。
(コスト意識も無ければ、勤勉さも無いって事)

笑って見ていたけど、そのうちむかついてきて、
とっとと席を立ったのは言うまでもない。

 
 
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