クリーム色に赤いラインの入ったスクーターが走っていた。
車名は「ビーノ」と入っている。
運転しているのは女の子。
なんだか妙に走りがキマッていた。
白のハーフキャップ型ヘルメット。
黒い革のロングコート。
赤いチェックのパンツに、革製のスニーカー。
バックスキンのグローブをして、赤いマフラーを巻き、
染めた髪の色がうまくとけ込んでいる。
まさしくコマーシャルから出てきたようなスタイルで、
しかし見事に着こなしていた。
女の子が、バイクをファッションとして扱うと、
アウトローな雰囲気は出にくい。
そのまま会社に行っても何の違和感がない事は、
女性の立場からはかなり重要なポイントだろう。
上下革を着込み、メイクもできないフルフェイスを被るなんて事は、
到底あり得ないはず。
だから、前述のようなスタイルになるのかもしれないが、
オシャレな感じを受ける事はあまりなかったのも事実。
だから、ちょっと驚いた。
そして、ちょっと微笑んだ。
生活の中に、当たり前に二輪があって、
偏見なくライダースファッションが受け入れられて、
そして二輪に対しても優しい交通環境が確立されたら、
とても嬉しい。
それには、厳つい野郎達の声よりも、
女性達のパワーの方が着実に効果を現す。
着ている物をあまり制限せず、
扱いやすいスクーターは、
女性達にはとてもフレンドリーな乗り物だと思う。
ウィンドプロテクトがしっかりされていれば、
ゴーグルをしなくても走れるし、雨もあまり関係無い。
スーツ姿の兄ちゃんが大型スクーターでキビキビ走るのも、
スクーターの持つ機能が有効に利用されているから、だろう。
スクーターは、きっと二輪の世界を変えていく。
スポーツタイプの大型スクーターが出てきたのを見て、そう思う。
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