くるぶしが出る靴は、スーツ着用時以外、
殆ど履かない生活をして25年は経った。
そう、私はブーツ愛好家なのだ。
ウェスタンブーツが、特に気に入っている。
25年前は、現在のような厚底靴が蔓延していた頃だった。
当時はその厚底靴を「ロンドンブーツ」と称していたが、
男も女も履いていたのが、今とは違うところだった。
ロックシンガー達が長身にも関わらず
20センチ近いヒールを履いていたから、
男性も抵抗なく履けたのかも知れない。
しかも、ビジネス用の靴でさえ5センチ近いヒールを持つものがあったから、
日本人のスタイル劣等感は今より深刻だったのだろう。(笑)
しかし、厚底靴の一流メーカーなんて存在しないから、
ブランドイメージなんてあったものじゃない。
だから、大人が履ける靴にはなり得なかったのは当然で、
それに合うファッションも少なかった。
誰もがベルボトムのジーンズに厚底靴を隠して履くスタイルでいた頃、
ジャスティン、ノコナ、フライ、トニーラマ、デュランゴ等、
色々なメーカーのウェスタンブーツが日本に入りだし、
耐久性の無いロンドンブーツに替わって一大ブームを形成していく。
当時でも、3万から5万はするウェスタンブーツは、
そのぶんしっかりと作られ、耐久性も高かった。
だから、まず男達に受け入れられ、
いつの間にか大流行となった。
しかし、そんなウエスタンブーツも短命だった。
冬のブーツは当たり前だが、
夏に履き続けるのは大変だ。
見た目重視で安物を買えば、本革でないが故に、
蒸れまくって悲惨な事になる。
誰しもがちゃんとした物を買わないのが、流行り物の運命。
大多数の安物ブーツは、夏は履けない靴だったはず。
しかも、派手目の外観は、合うファッションを限定するから、
1年後の流行とはズレが出る。
履いていて楽で、ジーンズにも合って、
耐久性も高い(値段も高い)靴なのだから、
長く履くつもりでシンプルなデザインを選べば良いのだが、
そういった商品は数が少なかった。
(派手じゃないと売れなかったのだから仕方ないが)
結局玄関の邪魔物として、ブーツ人気は下降の一途をたどった。
そのためブーツ専門店はバタバタと店を閉め、
ブーツもブーツカットのジーンズも、非常に手に入りにくい状態となる。
私は、新品のウェスタンブーツが手に入らないから、
カカトや底をリペアしながら、5年から10年は履き続けた。
売り出した時に手に入れないと、次が期待できないから、
小ブームが来て店頭に並ぶ時には、一気に2・3本買う。
しかし、古いブーツもリペアする。
で、玄関はだんだんブーツで埋まっていく事となる。
しかもそこに、バイク用のエンジニアブーツも加わるのだから、
もう大変な状態になってしまった(笑)。
最近また、ウェスタンブーツの流れが見えてきが、
何故か有名ブランドの人気が今イチ、と聞く。
いつのまにかトニーラマも、ジャスティングループの一員となり、
チッペワと同じ系列になっている。
ブーツメーカーも生き残りが大変らしい。
馬に乗る生活では便利な靴も、都会ではあまりアドバンテージが無い。
高く先細のカカトは歩きにくく、マッチするファッションも限られる。
想像するに、アメリカでもウェスタンブーツの人気は落ちているのだろう。
それでも履き続ける人は、
ファッションではなくスタイルとして考えるのだろうか。
(バイク乗りのこだわりにも似ているか(爆))
ブーツは編み上げのブーツがまだまだ主流で、
ウェスタンはまだ来ていない。
ただ、どうやら少数ではあるが、扱う店が出てくるようだ。
そんな噂を聞くと、もういてもたってもいられない(笑)。
まずは玄関のブーツのオールソール交換をしよう・・・とか、
今のスタイルに合う色のブーツをオーダーしようとか、
想像するだけで楽しくなってしまう。
靴には妙なこだわりがあるが、
こだわりこそがスタイル(生き方)なので、
それを楽しむ事が、一番なのだろう
Text and Photo by H
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