そいつは、バーの入り口にいた。
首輪をして、鎖につながれて・・・。
色は薄い茶色に少しブチが入っている。
人なつこかった。
媚びるわけでもないが、しゃがんで見ていたらモソモソと寄ってくる。
手を出したら、掌を嘗める。
客寄せなんだろうか。
店の入り口には檻もある。
毛並みも良く触られても怒らない。
犬のように吠えるわけでもなく、猫のようにひっかくわけでもないから、
マスコットとしては良いのかもしれない。
可愛い、と単純に思ってしまう。
人間の都合で、夜の店先に繋がれて、
でもその生活がソイツの全て。
人間社会でも、制服を着て名札をつけ所定の位置に座って
来客者応対をする人がいる。
容姿端麗・眉目秀麗、見てくれと品の良さだけが問われる仕事に、
嬉々としてつき、それを自慢していた奴を知っている。
バブルの頃、白人の美男子が入り口に立つ店があった。
一食一万円以上するレストランに、目の保養も付加価値としてついていたおかげで、
有閑マダムの常連がいつも席を占領していた。
男性ストリップを売り物にしている店があった。
友達は、キャアキャア言いながら喜んで見に行った。
彼氏がいても行きたいのか?と尋ねると、
それとこれとは別と言った。
兎は、戦闘能力が低い分、逃げ足は早く繁殖力も強いと聞いた。
バイクは交通社会の中では、兎に近いかも知れない。
店先に繋がれた兎は、幸せを感じるのだろうか。
by H
|