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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

食い物のうらみ

その昔、私はチェーンスモーカーでした。
つい手が出て気がつくと箱が空に・・・。
自分なりに、どうやったら本数が減るか悩みました。
 
思いっきりたくさん吸ったらいやになるかと思い、山ほど吸ってみても
朝寝起きに気持ち悪いだけ。
強いたばこにしたら、保つかと思って試してみても、あまり変わりない。
高いたばこにしたら(物理的に買えないから)どうかと思っても、
結局誘惑に勝てず量を吸ってしまう・・・・(涙) 
で、いつも私は50本入りのJPSを持ち歩いていました。

今は、一切吸っていません。
止められた理由は、簡単な事でした。
お金が無くなったのです。 たばこを買うお金が・・・。

若気の至りでモータースポーツを始め、稼いだ金の殆どがそれに消えて
いったとき、自然に生きるために必要のない物は買えなくなったのです。
 
以来20年近く、煙草は吸っていないのです。
 
だから、という訳ではないのですが、廻りでタバコを吸っていても、
あまり気にならないのですが、不思議な事にタバコの匂いにだけ敏感に
なるようです。
それのおかげで、食事の時だけはタバコの匂いは、許せない存在になって
しまいました。

普通に食べている時は、まあがまんできるのですが、
息を吸いながら食べる場合(スープを啜ったり、蕎麦を食べるとき)には、
タバコの匂いとともに食物が口に入るので、吐き気さえ覚えるのです。
 
ガラガラのレストランで、通された席がタバコ吸いの隣だったら、
まず席の交換を頼みます。
何故、金を払って食事をするのに、他に席が山ほどあるのに、
タバコ吸ってる奴の隣に通すのか、その神経が解らない・・・。
(でも、かように日本は喫煙者天国なのです。)
 
今日、仕事の都合でいつもと違う所にいたので、蕎麦屋に行きました。
一人だったのでカウンターに座りました。
その店はさすがはオフィス街のそば、大入りでした。

となりの女性が食べ終えて、次に座ったのがスーツを着た紳士。
白髪が混じった私より先輩の感じでした。
その時私は、2枚たのんだ蕎麦の一枚目を勢いよく、ずるずる〜と啜り
上げている最中でしたが、そんな私をちらっと見て(何だよ、文句あるのか?
って感じで睨み返そうかなって思う位こっちをじろっと見たんです)
から、おもむろにタバコに火を着けたのです。

満員の店で、皆時間に追われて急いで蕎麦を啜ってる・・・。
そんな時に一言も断らずに、しかも食べる前にタバコかい!
 
知ってる店だったら、怒ってたかもしれませんが、こっちも時間が無かった。
迷惑かけたり、それで時間食ってもたまらないから、露骨に背中向けて
啜らずに飲み込むように食べました。
さすがに、オヤジも気まずかったのか、すぐタバコをけして灰皿に水を
入れ(灰皿置いとく店だからしかたないですが)、こっちに背を向けて
耐えている・・・。
食い終わった瞬間店を飛び出したのは、言うまでもありませんが、
喫煙者のマナーのなさには、毎度呆れさせられます。 

全員がそうだとは言いたくありません。
でも、ここでタバコは無いだろう・・・という場面に、あんまり出会うので、
ついそう言いたくなってしまうのです。
 
さらに、信じられない事は、食事の前にタバコを吸える事。
自分も吸っていたから、あの舌の気持ち悪さのまま、食事できてしまう
神経がわからないのです。
 
中華街のワンタンの美味しい店に行ったとき、そこはいつも大入りなので
昼は相席当たり前、そこで同僚と二人で食べている時、前の席に座った
オバハン二人がいきなりタバコに火をつける。
寿司屋のカウンターでご馳走してもらった時、スポンサーがいきなりタバコ
に火を着け、オイオイと思って板さんをみたら、板さんもカウンターの
端でタバコすっている。
名の通った天麩羅屋のカウンターを予約しておいたら、両隣の客が生の
ネタが出ているところでスパスパ。

お前ら、味覚はないんかい?
と、本当に思ってしまいます。 
共通している事は、食事の前にタバコを吸う事。
他人の事など、一切お構いなしで・・・。
 
その寿司屋も天麩羅屋も、二度と行ってません。
自分達が提供する食事に誇りを持っていたら、そんな客はコントロール
するもの。
それもしないで、法外な料金を取るのなら、これはもう食べるに値しない
店だという事です。
 

ある時、夜遅めに中華街の「梅蘭」という店に行きました。
ここは、独特の焼きそばが有名で、しかも夜遅くまでやっているので、
たまに行きたくなる店なのですが、本店はカウンターと上がりにテーブル
一客しかない小さな店で、しかも台所もバーナーが一個しかなく、
料理人の手際の良さが見ていて小気味よい所です。
(その後改装してちょっと小綺麗になっていますが、まだ行ってない)
 
その時の連れは、元祖いじめっ子で喧嘩早く、気の弱いヤツは睨まれる
だけで道を空けるという、怖いお姉さんでした。
例によって、私たちが食事をしている時、いかにも「知ったかブリ男君」が、
これまた「私なあ〜んにもしらない娘」ちゃんと、楽しそうに入ってくる
のです。

「ここが、あのバイランヤキソバの店なのよ〜」みたいなノリで、
雑誌受け売り情報連発する彼氏。
カウンターの中ではヤレヤレといった顔の料理人。
言わしとけっとばかりに横向いて苦笑いしていた私の横で、
灰皿も出ていないカウンターでいきなり・・・・。
 
ビールも入ってました。
丁度飯も食ってました。
私の顔も、料理人の顔も、給仕の顔も段々険しくなっていきました。

その時、彼女が私の襟を掴んで、「出よう」と一言。
彼女もタバコは吸う人です。
でも、カウンターで吸うほど無神経な人ではありません。
だから、その時店の中の空気を理解したのだと、思いました。

次の瞬間、

「あんたねー、カウンターで灰皿も出てない店で、何もきかずにタバコに
 火着けんじゃないの。 あんたの吐いた煙がカウンターの中に入って、
 板さん嫌がっているのわかんないの!!」
 
給仕と料理人はわざわざカウンターを出て、私達二人を見送ってくれました。

                         by H

 
 
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