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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

フルチューンダックス

それは不思議なバイクでした。
ホンダが作った、フロントフォークを外せる原付。
バリエーションはどんどん増え二人乗りできる二種のものまで、
色々あったと記憶しています。
 
町中にも、かなりの数が溢れ、私たちは「ダッコロ」と呼んでいました。

このバイクは、スーパーカブのエンジンをそのまんま使っていたので、
チューニングするにもエンジン載せ換えするにも、パーツには困りません。

で、ちょっとバイクをいじってみたい人の、最初のチューニング車になる
事も多かったのです。
 
最初の内は、カブの90ccエンジンを載せてみる、
あたりから始めるのですが・・・。

スーパーカブとダックスでは車輪のサイズが違いすぎて、そのまんまでは
とんでもないローギアードになってしまいます。
それも知らずに載せ換えて、喜び勇んで乗ってみれば、
三速からしか使えない、恐怖のウィーリーバイクが出来上がっていました。
それで、スプロケットの原理を身をもって理解したり・・と(笑)

書類付きの70ccフレームをただ同然に手に入れ、
友達とワイワイ言いながら缶スプレーで色を塗り、
口径の合うなるべく大きいキャブレターを探し、
マフラーの中はそっくり外してしまい・・。
しまいにゃ、色々なカムを付け替え(これはプロはだしの奴が担当)、
おこぼれ物で徐々にセットアップしていきました。

でも、自家製ダックスフルチューンはやっぱりみすぼらしい。
ハンドルが変わっていても取り締まられる時代に、あまりにボロっぽく
見えるというだけで、キップを切られる事もなく堂々と走っていられたのは、
今考えても逆差別に思えてなりません(爆)
ナンバーが黄色だったから、30キロ規制でいちゃもんつけられなかったのも、
効果的だったのでしょうけど。
 
しかし、見かけはどんなにみすぼらしくも、立派なチューン車。
なんと95キロも出たのです。
しかし、プレス板でできた10インチホイールに
ナチュラルスリックタイヤ(坊主タイヤです)を履かして、
ショック関係はノーマル、ブレーキもノーマルだったダックスでは、
そのスピードで走る事は、今のバイクの200キロ走行より
怖いかも知れません。

ちょっとバイクを傾ければ、どっかいっちゃいそうな挙動を示し、
タコメーターも無く、ブレーキも効かない・・・。
(ダックスはエンジンブレーキだけで、十分なバイクでしたが(笑))

でも、面白かった。
ぎゃー怖えー、とか叫びながら、でも笑いながら走っていられる。
そんな楽しみ方できるバイク、最近少ないな〜と、感じています。
もちろん、バイクをいじる時間が無くなったり、ある程度金で解決できる
ようになったり・・・。
でも、バイク自体も触りにくい構造になってきたのかも知れません。
 
実速が遅くても、十分早く感じられて気持ちの良いバイクが欲しいと、
思うようになったのはやっぱり、あのフルチューンダックスの楽しさを
引きずっているのでしょう。
 
え?ダックスはどうしたかって?
一万円で私の知り合いが通勤用にご購入いたしました。
その後四年はノントラブルで走ったというから、さすがはカブのエンジン
だと仲間内では半分呆れていましたが(爆)

                      by H

 
 
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