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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

サマーパーティー

「えっ、こんなにケンタウロスのメンバーっているんですか?」
 
だいたいゲストを引率していくと、
こういう反応があるのがケンタウロスのサマーパーティー。

そう、だいたいサマーパーティーへ行く時は、誰かゲストを引率して出かけます。
その都度、色々な想いがあって、忘れられないゲストを連れていく事になるのですが、
ゲストとして連れていかれたのは12年も前の事、
そのときの集合場所は、日光の鶏頂山でした。

当時乗っていたバイクは、カワサキのエリミネーターでしたが、
児廻りチームで隊列を組んでの参加でした。
 
その時、私の斜め前を走っていたのは、フランス傭兵部隊にいたJ-dogでした。
彼の愛車はスズキのインパルス(ヨシムラサイクロンつき)でしたが、妙な揺れを
起こしながら走っていたのが印象的でした。
 
彼は、ケンタウロスのクラブハウスメンバーでしたが、物静かな優しい顔と時折見せる
真っ黒のようなオーラ(雰囲気と理解してください)が、周りとの距離を作る不思議な
男でした。 

東北道に乗ってから佐野のサービスエリアまで自由走行となり隊列は消え、
料金所から三々五々、マイペースで走り出す参加者達。
サービスエリアまで17分程で着きましが、
今思うと、その時初めて15分以上の全開を経験したのです。

それまでも、瞬間的に6速全開を経験した事はあったのですが、よくて2〜3分の間。
それ以上の長い間全開を続ける場所は、そうあるものではありません。
カウルもついていないバイク全開を続ける事は、もの凄い苦痛を伴いますから、
続けて走る場所が無い事は、これ幸いとアクセルを緩めるための言い訳になります。
 
「もうよそう、マイペースなんだからもう少しゆっくり走ろう・・」

そう心の中で何度呟いたか・・・。 

私の前に カワサキの1000RXが、気持ちよさそうに走っていきます。
アクセルは開けっ放し、タンクの上に伏せっぱなしで走っているのに、
彼は徐々に小さくなっていくのです。 

気がついたら、佐野SAに辿り着いていました。 
やがて、インパルスのJもやってきました。

「早かったね。 ついていけなかったよ・・」

「何か、バイクにおかしいところある?
 首都高でユラユラしてたよ。」

「実は・・・」

彼が傭兵をしていた時、自分の側で地雷が爆発し半身の感覚を失ってしまった事、
それ故、傭兵を続けられなくなった事、
そのため片目・片腕があまりきかず、
どうしてもバイクに乗るとそうなってしまう事を、
彼はゆっくり話をしてくれました。 
ケンタウロスの大将を守る、という自分で決めた目標を持って、
やっとの思いで生き続けているんだ・・・という事も。

何故、彼が傭兵になったか。
何故、ケンタウロスに出会えたか。
何故、こうやって今、一緒に走っていられるのか・・・。
 
そんな事は一切解るはずもないのですが、
同じ目的を持って走っている事を、
何故かその時、とても大切にしたいと思いました。
 
日頃、殆ど見ない看板持ちが、それこそ呆れるほどたくさん集まり、
その他大勢がさらに集まってくる。
そして、早朝からビールを飲み肉を食らう・・・・。 
現地集合現地解散のツーリングは、多分私のような出会いをしながら、
たくさんの想いを背負いながら、
各方面からのライダーを受け入れるのでしょう。
 
Jはその後、交通事故で亡くなりました。
でも、私の中では彼は生きています。
はにかみながら微笑んでいる顔が焼き付いています。

毎回サマーパーティーへ行く時、
私は必ず、
彼の顔を思い出します。

                      by H

 
 
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