ケンタウロスに集うライダーには、独特のスタイルがあるようです。
例えば、革ジャンの上にはベスト、ジーンズにブーツ、
どこかにケンタウロスマークの入ったグッズを纏い、
ヘルメットには反射ステッカー、
といったところでしょうか。
私は13年くらい前に、クラブハウスメンバーとなったのですが、
その時に思った事は、皆の靴がゴツイ、という事。
それまでは、普通の節操無い走りをするライダーだった私は、
ブーツはウエスタンブーツをバイク専用に1本、
潰すまではき続けるのがスタイルでしたが、
彼らのブーツはゴツくて丸い(エンジニアリングブーツ)やつか、
金具のついているオフロードブーツ(アルパインの例のやつ)が主流でした。
事故を起こした時、
「くるぶしを全部削ってしまうと、最悪足首以下を切る事になる」
と七沢リハ病院の医者に脅されていたので、
バイクに乗る時には絶対ブーツとしていたのですが、
へにゃへにゃのライディングブーツやウエスタンブーツでは、
やはり情けなさを隠せません。
当時、エンジニアリングブーツをはく人は、
町中ではまったくと言っていいほどいなく、
それがケンタウロス独特のアイデンティティにも見えたので、
これはおつき合い、という気持ちもあって1本買いました。
当時は、チッペワ製のものとレッドウィング製のものがありましたが、
革の柔らかさからチッペワ製の物を選びました。
確かに、軽トラに踏まれた時、車とバイクに足を挟まれた時、
時速1**km/hで車に蹴り入れた時(さすがにこの時は足の甲の骨3本折れました)、
このブーツのおかげで足は無くならずにすんでいます。
以来、いつでもエンジニアリングブーツをはき続け・・・。
2本のチッペワを履き潰し、レッドウィングを潰しかけている状態です。
「靴だけは贅沢しなさい。
見る目がある人は靴で、その人の値踏みをします。」
と教えてくれたのは祖母でした。
彼女は旧家である私の一族の長として、会社を切り盛りしていた人でしたから、
その見識や経験にはただただ恐れ入るばかり。(10年も前に他界しましたが)
で、私はその言葉を信じて生きています。
確かに高価な靴は、それに見合うだけの寿命と
価格以上の履き心地を約束してくれるだけでなく、
客の値踏みをするような場所では、
それなりの効果(対外的にも、自分の心情的にも)もあるようです。
見た目そっくりの安物は、どうしても存在感が薄く、
おまけに足を傷つけたりもしてくれる・・・。
安全のため、一足4万からする靴を惜しげもなく履く事、
それは私にとってはヘルメットを被る事と同じです。
by H
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