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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 

後ろに飛ぶ

皆さんは砂浜を走った事がありますか?

昔、右も左もわからなかったころ、
バイクだけが日常から違う世界に連れていってくれるマシンだった時代、
どこでもハンドルを向けるだけで走っていけると信じていました。

事実、あまりに綺麗な紅葉に魅せられて入り込んだ山道で、若さ故に丸木橋まで
バイクで渡ってしまったり、川だろうがあぜ道だろうが人が歩けるところは
バイクで行ってしまう蛮行が、そのころの勲章でした。
乗っていたのはTS125。
良いバイクでした。

ある日、朝早くR134を走っていた時、「砂浜を走ったら気持ちいいだろうな〜」という
気持ちがムクムク。
気がついたらバイクはすでに砂の上でした。

砂の上は真っ直ぐ走らす事さえ難しく、とにかく腕が疲れる。(下手だから・・・)
ただ、30分も砂と格闘していると、ヘラヘラ笑いながらの至福の時間が流れている事
に気がつきました。

「こりゃ、止めらんないね。」
独り言も出るころさすがに腕も上がり、楽がしたくなった私は、
硬くしまった様に見える波打ち際に目がいきました。

「砂を洗うのもちょっと面倒なのに、その上塩か〜・・。
 どうせ洗うんだから、一緒か・・。
 いっちゃえ〜!!」

波を蹴散らしながら走る波打ち際は、ハンドルをとられる事も無くスピードも
グングン上がる。

「気持ちいい・・・・・!!!」

メーターは90km/hを指しているのに、結構安定して走るではないですか。
疾走している姿を横から撮ったら、朝日に映えてかっこいい写真が撮れるな〜と、
ぼんやり考えていた時、突然目の前に黒いロープのような物が・・・。

無意識にブレーキをかける・・・。
止まるわけがない・・・。
バイクは斜めになったまま、そのロープ状のものにぶつかりました。

「何やってだ!オメ!!」

独特のイントネーションをもった罵声が響き、
私のバイクはあっと言う間にスピードがゼロに・・・。
そして次の瞬間、バイクごと後ろにすっ飛んだのです。
まさに、私は誰?ここは何処?、状態。

事故を起こして、進行方向に飛ぶ事には慣れて(慣れなくていい)いるけど、
後ろにすっ飛ぶ事は初めての事。
ドスッという鈍い音とともに後頭部を砂に埋めてバイクを抱えている私。
しばし放心状態。

そうです、私は操業中の地引き網に引っかかったのです。
砂はしっかり衝撃を体に返してくれ、私の首は鞭打ちになったのでした。
怒鳴った漁師は、最初は茹で蛸のように悪態をついていましたが、
動けない私を見ているうちに大笑い。

そりゃそうでしょ。
バイク1台ワイヤーにかかったくらいで切れてるようじゃ、
地引網は引けないですからね。

以来「地引き網にかかった男」として仲間内では有名に・・。

知らない道は気をつける。
それ以来の私の教訓です。
                by H

 
 
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