容赦ない日差しが真上から降り注ぐ。
それは直接突き刺さるように、ジリジリと肌を焼いていく。
台風の合間を縫って辿り着いた南の島、石垣。
そこはすでに真夏の匂いに溢れている。
こうして私の真夏が始まった。
この海は、あまりに青い。
青の中に、輝くような碧が見える。
この色を見るだけでも、ここに来る意味はある・・と、本当に毎回感じる。
熱帯魚さながらの魚達が悠然と泳ぎ、原色をちりばめる海。
その姿を覗きたくて海に入る。
波間に漂いながら、ただただふわっと浮いているだが、
その浮遊感と南国の色と、海の味と夏至南風を味わった。
そして、これこそが一番リラックスできる時間だと
初めて気づいたように、心が躍っている。
この島では、真昼に外を歩く人は少ない。
強烈な紫外線と目眩がしそうな気温で、地元の人は用事が無い限りは日陰にいるのだとか。
ましてこの時期は夏休みでもなく観光客もまばら。
だから街はそっけなく見える。
台風一過で空が高いが、大気が不安定で雲の動きが面白い。
それにしても青い空だ・・・と上を向けば、お決まりのシーサーがコッチを睨む。
これが琉球だ・・・と感じる形、そして色。
この風景が妙に懐かしく見えるのが何故だか、何度訪れても理解できそうにないが、
わけもわからず落ち着ける事だけは、随分前に気付いていた。
誰もアクセクしていない。
誰もイライラしていない。
時間の流れ方が違うよなぁ・・・
海の中も陸の上も、同じ柔らかさを感じさせる何かがある。
酒もメシも、独特の文化を象る物で全てではない。
風も光も、ここでしか有り得ないものではない。
だが、全てが揃って石垣島の風景となり、
心を直に抱きしめる・・・・。
朝、日が昇って、夕に沈む。
それは日常であって、日常でない・・と感じてしまうのは、
潮の満ち引きや日の出日の入りといった自然の営みを見る事が少ないからだ。
つまり私にとっての日常は、自然の摂理から外れた所に存在しているのだろう。
今、生きている事の楽しさ、素晴らしさは、
こんな非日常の確認作業によって、浮き彫りになる。
物が揃った豊かな環境って、本当に幸せな環境なんだろうか・・・
それは、来る度に感じる事。
そして、来る度に考えさせられる事。
しかし、来る度にそう思うって事は、今の社会を気に入っている証拠でもある。
意外に不健康な生活こそがが日々の活力の元で、
その方法が効かなくなった時にだけ「非日常」を感じたいのかも知れない・・
と気づいて愕然とした。
不健康な刺激が元気の源なら、ここの自然は足りない何かを補うモノ。
その事を心が理解し身体が望むからこそ、リピーターとなるのだろう・・・・・。
Text and Photo by H.Wakao
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