「満月・・・無いけど、飲む?」
そんな声をキッカケにすぐ話が盛り上がる。
そして、強引に日程を組み、先走って掲示板に告知が載る。
それから慌てて準備に取りかかる・・・と
それがいつもの、瞬発力あるイベント企画の実態だ。
「私的満月」
それは、中華街の東屋で勝手にやる、ただの飲み会。
参加費は無し。
但し、飲物食べ物は自分で持って来る事。
そして、ちゃんと自分達のゴミは片付ける事。
そんな条件さえクリアすれば、誰でも参加できるイベントだが、
参加者がとんでもない遠方から来たりする事もあって、だんだん大所帯になっていく。
確かに今回は余裕がなかった。
極個人的にやるなら、明後日・・・とかの短期決戦でも開催するが、
楽しみにしている人が増えてくるとそうもいかなくなってくる。
しかしアウトドアを楽しめる時期は、一年のウチでもそう長くない。
だから、読めない気候を考えて告知後一週間で開催・・という暴挙に出たのだ。
「声をかけてくれたら顔を出したい」とサーティースのKENに前から言われていた。
だから珍しく、他の掲示板にも告知をした。
ただ、北陸ミーティングから1週間後の開催。(勿論彼は参加者)
あまりの余裕の無さから、さすがのKENも参加は難しいだろう・・・と想像していた。
が、どうやら彼はライダーとしての感性のままに生きているらしい。
KENの笑顔が、当たり前のように東屋にあった。
例によって明るいウチから飲みだしていると、マイペースの参加者達がやってくる。
延べ参加人数は数えるのを止めさせる位になったが、常時東屋に居るのはざっと見ても十数人を下らない。
用意しておいたビールはすぐ消えたが、彼等が持ち込むビールや食べ物で盛り上がっていく。
文章のみの会話でできたコミュニティが
こうやって出会いの場に変化しても、 語る事は途切れる事なく膨らんでいく。
それはページ保有者としてとても嬉しい事実であり、コミュニケーションの場として活用されている実感でもある。
とにかく言葉が通じる人間しか来ていない・・と考えても間違いない、のだから。
ライダー同士の関係(一期一会)とはまた違う、つかず離れずといった人間関係は、
情報ハイウェイのサービスエリアで出会った人達が求めるコミュニティなのだろうか?
「あんたの笑顔が一番のご馳走・・・」
と北陸で言われた言葉は、この東屋に集う人々の顔からも理解できる。
本当は、美味い酒も美味い食べ物も必要無いのかも知れない。
コンビニで買ったツマミにウーロン茶でもいいのかも知れない。
でも、せっかく横浜に来たのだから・・という想いはやっぱりある。
皮付きチャーシューも、焼売も、餃子も、韮饅頭も、中華街の中でやる以上欲しくなる。
ここでしか有り得ないモノは、どうにかして楽しんでもらいたい・・と思うのだ。
こんな会がある・・と知っていても、単独で参加するのは難しい。
ちょっと顔を出せる距離でなければ、尚更の事。
それでも会ってみたい・と思える人達が集っているのなら、自分自身の人見知りなんて軽いもの。
そう思える人達を繋げていくのがまた、この会を開催する楽しさになってきた。
1対1の付き合いしかない友達を強引にバッティングさせてパーティーにしてしまうのは、
アイスブレーカーとしての性なのかも知れない。
が、そんな場ができる事でまた、新たな関係は作られていくのは経験的に理解しているし、
私自身が気がつける事も多くあるので、こんな形を楽しんでしまう。
どうしても社会が狭くなりがちな今、積極的に人間関係を広げていけなくては、
楽しい(美味しい?)情報もまた、流れて来ないものなのだ。
しかし・・・・
深夜に属する時刻になっても、誰一人として帰ろうとしない。
初めて出会った人達が、語り合ったまま腰を上げない。
そんな風景を見ながら飲む酒も浸る空気も、
何の貸し借りもない関係だからこそ美味しいのだろう。
一人でぼ〜としながら次は何時やろう・・かな、と思っていたら
「次は秋?」と参加者に尋ねられた。
「楽しんでくれた笑顔が、一番のありがとう・・・」だね。
Text and Photo by H.Wakao
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