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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 
 

北陸ミーティング

「6月1日、北陸ミーティングです。」


渚園で会った仲間達は、2週間後に石川県で集合すると言う。

「食いたいだけの食料と浴びるほどのビールが待ってます。
 金沢エンジェルダストの一部のメンバーがボランティアでやってきた会ですが、
 あまりにサイズが大きくなったため、今回を持って最後となります。  是非、ご参加ください。」

美味しい酒と心のこもった食事がある事は魅力的だが、それより9回目を迎えるパワーを見てみたい。
招待のコメントを聞きながら既に北陸行きを決めていた私は、 横浜から石川県まで走るルートを考えていた。

どうやって辿り着こうか・・・と。


「場所的にはどこら辺になるんだろう?」

「金沢より南で、小松に近い・・と言えば良いですかね・・・」

「小松・・と言えば、自衛隊の小松基地がある?」

「そうです」

「上で行けば、大した事ないかな?」

「上も下も関係ないでしょ? 余裕で行けますよ」


バイクは無いんだよなぁ・・・・
上使っても、車じゃ結構な距離になる。
前日はどうしても抜けられない飲み会がある・・・し

小松?
小松基地=飛行場
それじゃ国内線があるのでは??



そうして私は、文字通り上(空路)を使って小松を目指した。



「今、どちらですか?」

「小松だよ」

「結構早いっすねぇ・・車でしょ?」

「上使ったからね」

「じゃ、インターですか?」

「いや、飛行場」

「えっ?」

「上は早かったゼ。 なんたって時速800キロだ。」

「あははは・・・・」


石川県石川郡鳥越村字上野ヤ74
バードハミング鳥越バーべキューガーデン

そこには、こちらの想像を遙かに越える台数のバイクと、サイトを埋め尽くすテントが待っていた。

金沢エンジェルダストはケンタウロスの直系クラブだが、その名の通り本拠地は金沢になる。
北陸一の暴れん坊・・・等と称される事もあるがメンバーの在住地は幅広く、
その結果各地のモーターサイクルクラブとの交流が盛んだと聞いていた。

その証明が、参加者の多さと多彩なカラーでなされているようだ。
(SURTEES・GANESH・LAFORCE、FURAIBO、RIDERSHAIGH、HELLDIVER、afMC他)





夕方6時、乾杯の声とともにミーティングがスタートする。
渚園で会えなかった友人達と、再会を祝して杯を干す。

幻と言われるようなラベルも貼ってない酒が持ち込まれ、
まだ陽が落ちきっていないうちから飲み方全開モードに突入した。



2週間前は関東と関西の中間を楽しんだが、今日は北と南の集合を楽しんでいる。

陽の向きが違う事や山の色が違いは確かに彼の地である事を肌で伝えるが、
そこに集う人々には違和感の欠片も感じない。

彼処でも此処でも顔馴染みがいる事もあるのだが、そこに流れる空気の柔らかさは特筆すべき事実だろう。

それは、多分、この会がクラブ主催ではなく、
エンジェルダストの一部メンバーによる手作りの良さがあるからだ。

膨大な食料も浴びるほど飲めるビールも、参加費3500円で賄えるわけはない。

それを知っている参加者は、各々が持ち込みを当たり前に考え、
見知らぬ参加者にも分け隔てなく振る舞う事で、盛り上がってきたのだろう。


家族連れの参加者が多く、それが家庭的雰囲気を醸しているのは、
メンズクラブとして歴史が長いケンタウロスのパーティーと違う点かも知れない。
ただそれは参加者が自然に楽しめる環境作りの手法の違いがあるだけで、
どちらが良いとかの話ではない。





あんたの笑顔が一番のご馳走・・・

その言葉は、
この空気に浸っていると、
素直に理解できる。





普通の人間でも、家庭と職場という2つの社会を持っている。
それ以外に社会を持つ人間も、また多い。

何故なら、人間は一人きりでは生きられないからだ。

そしてその数が増える程その人間の幅は広がり、
色々な意味での「力」となって作用する。

それは、会社とは無縁の社会に参加している人間にとって、
その違いをアピールするスタイル等が、無言の圧力を感じさせる事で理解できるだろう。

心理的リセットは、別な社会に入るための切り替えに必要な行為。
社会の違いが大きければ大きいほど、意識上のリセットでは済まなくなり、
強引で力任せなやり方がしたくなる。

だからその、一人きりでは生きられない人間が、
敢えて一人きりの時間を味わう行為(ライディング)は、
自分の社会的位置のリセットと考えていい。






夜が更けても酒宴は続く。

何時また会えるか解らない仲間との時間を惜しみ、
語り尽くせぬ気持をぶつけ合う。

初めて会えた人間と言葉が通じる事は、
ライダー同士だからというワケではない。
同じやり方でこの社会を求めた結果だと思う。




土の上に寝る気持ちよさ。
飲み尽くし、語り合って迎える朝のすがすがしさ。

この楽しみは、味わった者でしか解らない。

だから、ここまで来た意味があったと、
心から感じている。





来年は、普通のキャンプとして行う・・・という北陸ミーティング。

それを聞いても寂しくは感じない。
好きな所にバイクを停め、そこで飲んで寝てしまうやり方は、
その「形」なんか求めていないのだ。

きっと、誰もがまた、ここに集まろうと思っているだろう。

その想いを持つ者が「やるぞ!」と声掛けすれば、
同じような空気が出来上がるのは必然の事実だ。


素敵な空気と時間があった事は忘れない。
そして数々の出会いがあった事も。

ありがとう
そしてお疲れさま
金沢ミーティングスタッフの皆様


ありがとう
声をかけてくれた皆様

またいつか、何処かの星の下で語り明かそう



                                    Text and Photo by H.Wakao

 
 
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