窓の外は一面の桜。
いきなり暖かくなって、桜が一気に開いている。
こりゃ、お花見だね・・・と、陽気に誘われて出かけてみる。
風は少し冷たいが日差しは暖かくて、まさに春だった。
我が家から歩いて5分もかからない所にある「幸ヶ谷公園」
ここには桜の木しかないのか?と疑いたくなるほど、桜が多い。
当然、満開になれば近隣から花見客が押し寄せる名所となっている。
酔っぱらいは嫌いだが、
青空に映える桜だけ見ていれば足元の醜態に目を奪われる事はない・・・と、
こっちも花見を決め込む事にした。
毎年、桜の名所では大々的なイベントが催される事が多いが、
今年は「早すぎて日程が合わない」と慌てる主催者が多いと聞く。
だが、この公園では、そんな心配はいらないだろう。
近所の住民と会社員たちが「花見」と称した呑み会を開催するだけだから。
毎年昼頃から呑みだして、夜中まで騒いでいるのが我が家まで聞こえてくる。
その騒ぎで、春を感じたりするのだが・・・・今年は随分静かなのだ。
不思議に思ってざっと見ると、会社単位での参加は少なく見える。
ちょうど年度末で呑みに出られない程忙しいのか、
呑みにでる余裕自体が無くなったのか・・・・。
まぁ、そんな事はどうでもいい。
散歩がてらに花見するこちらにとって、静かな事は嬉しい事。
深く考えるのはやめにした。
屋台から粉物の匂いや焼き物の匂いがが流れてきて、
ついつい足がそっちへ向く。
焼き鳥、焼きそば、たこ焼き、イカ焼き・・と、屋台が並んでいる。
食事代わりにたこ焼きを買った。
ソースと紅生姜と鰹節の香りが食欲をそそる。
熱々を頬張りながら公園を散策したら、いつのまにか笑い出していた。
「これが好きなんだよなぁ・・・」
花には確かに力がある。
角張った心を丸くする。
まして桜は儚いから、
見る者達の心を掴むのかも知れない。
年度の節目に見るショーだからか、
一年頑張ってきたな・・・という想いとともに見上げてしまう。
来年もまた、笑いながら見上げられるように・・・と、
心に誓って職場に向かった。
Text and Photo by H.Wakao
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