春が来る前に飛ぼう。 空が澄んでいるうちに。
そう思いながら、良い天気を待つ。
朝日が昇る時刻が早くなり、
空気はどんどん春めいていく。
しかし空は、毎日曇っていた。
想像以上に春が早く訪れた事は、
慌てて目覚める草木を見るにつけ、感じる事。
風が薫り、陽は柔らかく
暖かく 優しく
淡く地表を照らすだろう。
もう冬の空気は期待できない。
そう、陽の光が呟いていた。
降水確率が0%と出た日、
羽布団のような空気を感じながら、飛んだ。
上空の空気はまだ冷たさがあるが、
間違いなく春の色が見える。
判断に間違いが無い事を確認しながら、
ベールのかかった世界を切り取った。
随分早いなぁ
今年の春は。
Text and Photo by H.Wakao
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