「クリスマスにはケーキがあって、プレゼント交換をするものよ」
「うちは、仏教徒だからやらない、という家だったよ」
「バカね、口実よ・・・」
「貧乏だったんだろ・・・」
「・・じゃなくて、クリスマスに何かするって事・・よ」
仲が良くても、仲良くなりたくても、
いきなり何かをプレゼントしたり、食事に行ったりできない人にとっては、
こんなイベントが必要だと、彼女は言う。
まぁ、イベントなんて、そんな役割なのかもしれない。
飾り立てられた景色に、勢いはつく。
期間限定のスペシャル物からリーズナブルで気の利いた物まで
揃えやすいという事も、ありがたい。
リレーションを強めるには便利だと、思う。
イブの横浜は、もの凄い人出だった。
飲食店は尽く満員で、散歩を決め込むカップルも多かった。
ここぞとばかり手を組み寄り添う姿は、
ちょっとやりすぎ・・と感じなくもないが、
微笑ましく見える。
確かに毎日顔を合わせる仲でも、クリスマスプレゼントを交わす事は、
日頃の愛情を確認するのに、役立っていた。
だからプレゼントは、
日頃のお礼・・・という意味でも、
役立つのだと思う。
日本には「盆暮れの付け届け」という風習があったが、
語らずに心を伝える文化の中にちゃんと「プレゼント」という概念があった。
クリスマスプレゼントもお歳暮も、伝えるモノは心。
値段や価値ではなく、気持を形にして伝える・・という事。
お互いがそう思えれば、渡す時の楽しさは格別だろう。
綺麗な風景やシチュエーションだって、立派なプレゼントになると解れば、
天井から降る人工雪を待つ人達の気持ちも、少しだけ理解できるというものだ。
[Nikon F3 /20mm/f2.8/ ASA400 1/8秒露出]
Text and Photo by H.Wakao
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