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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 
 

Extravagance ??

ハマリやすい・・・と、よく言われる。
知らない・・という事が嫌いなだけなのだが、
一通り探求したい・・・と思ってしまうのは、子供の頃からの悪い癖。
しかし、そのおかげで、雑学は随分増えたように思う。

ハマル・・のは、趣味。
コレクターにはなれないが、集める事はする。

デザインや鉄の肌に惹かれて、最後にオリジナルまで作ってしまったナイフ。
好きだから・・と増えてしまったブーツ。
キレイだから・・と気に入ったモノを買っていたら、数十個になってしまったスウォッチ。
珍しいから・・と買ってしまった、ワイン&ウィスキー・・・

ハマってわかる事。
価格には、「それなりのワケ」がある事。
そして、それを判断する物差しが、確実に自分の中に備わる事。
(コレクター的な集め方をする場合には当てはまりにくい)

私の場合、全部使って(味わって)しまうから
ちゃんと物差しとして残ってくれるのだろうが、
「もったいない」という声を聞くと、ちょっとだけそんな気分にもなる。

でも、飾っておく方がもったいないと思うのだが・・・・。



キャップにナイフでV字型の溝を切る。
柄の長いマッチでゆっくりフットに火をつける。
なるべくラッパーを焦がさないようにじっくりと・・・。

最近のマイブームの一つ、シガー。
高価なものだから、贅沢品として広く認識されている。

フルサイズのものだと、最低でも一本500円程度はするし、
高級なものになればその10倍以上の値がついてしまう。
だから、煙草を数多く吸う人達には、あまり魅力的なモノではないだろう。

日常的にシガースモーカーを見る事は殆どなく、販売している店も数が少ない。
だから私自身がスモーカーだった頃に、シガーに興味が沸くチャンスは無かった。


ところが最近、行きつけのバーで友人と飲んでいた時、
ひょんな事からシガーが常備されている事に気付いた彼が、
「ダビドフ」を一本オーダーした。

綺麗な白い灰を残しながら立ち上る紫煙は、
煙草の中の旨味だけを凝縮したような魅力を、振りまいている。

興味心からちょっと吸わせてもらって、驚いた。
その香りの深さと味わいの円やかさに・・・。


そして私は、シガーデビューを果たした。



趣味のモノは、その殆どが知識を要求される。
面倒くさい手間や、時間のかかる経験の積み重ねが必要だ。

バイクなんてその最たるモノかも知れないが、シガーもかなりの知識を要求される強者だ。
吸い口を切る方法から火の付け方、そしてくゆらし方とそれに合わせる酒・・・。
形状の違いによる味の変化、産地やブランドによる傾向など、
自分向きのものを見つける事自体が一苦労となる。

出会いと失敗を重ね、試行錯誤の積み重ねによって、
自分にしかエンジンのかけられないバイクに乗るように、
自分の流儀が完成されているスモーカーになりたいと、思った。

難しい事だからこそ面白いし、
得られる喜びは大きくなる。
そして、その喜びを得るためにかかる費用は、
のめり込むほどに嵩んでいく・・・




貧富の差が激しく、
イギリスという貴族社会を持つ国の
文化を残している香港には、
返還前の贅沢な空間が、
今でも多く存在している。

そしていまだに大金持ちは存在し、
贅沢なモノも揃っているのだ。


ならば、あるはずだ。
良質なシガーと、その喫煙場所が。

そんな漠然とした考えだけで、
香港旅行に加えたイベントはもちろん
シガースモーキング。



しかし、以前シガーに興味が無かった私には、
食べる事に関係する店しか記憶がない。

嗜好品としての酒も、香港では欲しくないのだ。
香港以外でも味わえるものを、
日本より高い金出して飲むなんてバカらしい。
酒を売る店なんて、
冷やかす事も考えられなかった。

だからシガーなんて・・・。




食べ回って、歩き回っても、シガーショップを見つけられなかった私は、
DFSで免税品を買おうかと考えていた。
しかし、身体はゆっくりくつろいでお茶でも飲みたい、と叫んでいる。

こんな時はペニンシュラのロビーへ行こう。
吹き抜けの高い天井と、マーブルの床。
弦楽のBGM(ライブ)が流れる空間で、ゆっくりお茶を楽しみたい。
(例えその一杯で、町中での麺が2杯食べられたとしても)


ロビーに足を踏み入れた時、あれっと思う。
シガーの香りがしている・・・。


笑ってしまった。
そこに「ダビドフ」のショップがあったのだ。
(一本調達したのは言うまでもない)


図らずも大事にしたいイベントが、
偶然向こうから転がり込んできたように感じた。

喫煙席に案内してもらい、シガーを見せたらボーイはニコッと笑った。

英国流で固まったようなホテルでは、シガーが吸えて当たり前だとは思うが、
香りが強い分廻りを気にする。
そんな心配は有りませんから、好きなだけお楽しみ下さい・・と言わんばかりに、
ボーイが特大サイズの灰皿を持ってきてくれた。

香港では最上位にランクされるホテルのコーヒーショップで、
ゆっくりフルサイズシガーを味わう。
それは、その空間と時間の贅沢を味わう、という事だ。

最近、日常があまりに忙しく、
ゆっくりとした時間が取れないでいる。
だから、つい、
贅沢な時間を思い出してしまうのだろう。

また、行こう・・と思う気持ちを利用して、
日常をこなしながらも。



                   "The Lobby" The Peninsula HongKong
                      Photo by H.Wakao &K.Kimura

 
 
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