夜、山下町にやって来たバイク。
そのナンバーから、かなりの距離を走った事がわかる。
ライダーは目指す場所に立ち、呆然とした表情で見ているものは、
こんな風景だったりする。
そう、そのライダーは、The Shop Kentaurosを目指して走ってきた。
しかし、The Shopが存在した所には、ご覧の通りの薬屋がある。
もちろんこの薬屋は、最近営業を始めた店だから、移転先は知らない。
ライダーは仕方なしに、傍の店舗に移転先を尋ねる事になるのだが、
生憎その店も、Kentaurosのショップがあった頃には、
この地で営業していなかった。
「ちょっとお聞きしますが、Kentaurosの人ですか?」
と、いきなり店の人に声をかけられたのは、私だった、
深夜まで営業しているピッツェリアは、山下町地区には少なく。
遅すぎる晩飯にありつくために、訪れた時の事だった。
聞けば、かなりの数のライダーが、The Shopの移転先を尋ねると言う。
私の背中を見て、数多く寄せられる質問の答えを求めたのは、無理もなかった。
そんな経緯もあって、いつの間にか常連となってしまったのが、
ピッツェリア「ヴィスコンティ」。
その名の通り、石釜で焼くピッツァがメインのレストランだ。
思い出せば、「ピザ」と発音する食べ物に初めて出会ったのは高校生の頃。
それは冷凍食品のモノだったが、薄くて独特な台とチーズと
トマトソースと薄っぺらなサラミは、とても魅力に溢れていた。
すっかりその味にやらた私は、まず色々な冷凍食品物を食べ、
本牧あたりの独特の長方形ピザに出会い、
シェーキーズの食べ放題ピザにハマって、その遍歴は終了した(爆)
その当時、ピザの味はトッピングで決まるように感じていたが、
自前で生地から作る店へ行く事があってから、その概念は変わる。
マルゲリータのような、チーズとソースだけのシンプルなピッツァが、
台の美味しさによってたまらない美味しさに仕上げられていたのだ。
基本が美味しくてはじめてトッピングが生きるのだ、と思い知って以来、
ピッツァは台が美味しい物以外は、欲しくなくなった。
外側がカリッとして中はモチモチした、生地の味がちゃんとしたもの。
そんな台はちゃんと生地から作っていないと実現しないから、結局店を選ぶ事になる。
だからこんな店が近くにあると、とても助かるのだ。
凝り性のマスターと、センスの良いコックが切り盛りする店は、
カウンターとテーブルをフルに使っても、20人が入れる程度。
メニューも、アンティパストが数点と、ピッツァが5〜7品。
パスタも3点しかない直球勝負店だが、日々進化していく生地が、
つい食い意地の張った私の足を、動かしてしまう。
ピッツァは1300円程度からあり、ビールやワインもあるので、
遅めのスターターとして、重宝にしている。
深夜、シャッターの閉まった薬屋の前で呆然としていたライダーに出会い、
この行きつけの店を紹介しよう・・・と思いついた。
The Shopへの地図や連絡先は、
http://www.kentauros.com
にて調べられたし。
携帯にショップのナンバーをメモリーしたら、
この店で一休みしてから訪れるのも、楽しいイベントとなるだろう。
毎回、冷蔵庫から取り出す生地を伸ばし、
石釜から出てくる形が違うピッツァは、
マスター拘りの進化をしているらしい。
さて、今日はどんなピッツァが出てくるだろう・・・・。
VISCONTI
045-664-6646
横浜市中区山下町276-5ルグラン元町
Text and Photo by H.Wakao
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