9月に入って、急に涼しくなった。
横浜では、オープンカフェなどにはピッタリの陽気、と言っていい感じだ。
食欲の秋にはまだ遠いが、夜の中華街にも人出が増えている。
こんな時はオープンで飲みたいね・・と誰かが呟き、
頭に浮かんだのは山下町小公園での観月会。(という名の呑み会)
中秋の名月を愛でたのは去年だが、今年は香港で観月する予定。
で、月は無くとも集まって飲もう・・、という事になった。
古い友達がその日訪れ、彼を巻き込んで準備をする。
クーラーボックスには氷とビール、ロングモーン15年と富乃宝山。
デフォルトとなりつつある「蓬莱閣」の「焼売」に加えて
「同發」の「皮付き焼豚」も用意した。
東屋に辿り着けば、いつものようにまず掃除。
胡散臭い格好をした奴が観光客の足下から吸い殻を拾うと、
居心地が悪く感じるのか観光客は減っていく。
気がついて一緒に掃除をする人はやっぱり皆無・・・で、
今の当たり前の風景かも知れないと思いつつも、寂しい気持にさせられる。
シゲが到着し、奈良から三河から京都から・・と、関西組の乱入が始まる。
随分 ALL JAPAN 化したなぁ・・と呆れながらも、とても嬉しく感じた。
京都、奈良、といった遠方から鉄馬で駆けつける事は、
600マイルブレンドに匹敵するなぁ・・・、少しばかり苦笑しながら。
最近、無意識に自らに枷をはめている・・と、彼等を見ていて思う。
休みの日に、気ままに鉄馬で駆ける事を、
仕事や体力やパートナーのせいにして避けていた。
乗ったら最後、
押さえが効かなくなる自分を知っているから、
走る事が怖かったのだ。
そしていつの間にか、
守りにのみ走っていた事を、肯定していた。
片道300キロ〜500キロの道のりを往復する。
横浜に行く・・というだけで。
友人が、その距離感の違いに呆れつつ憧れつつ、こう呟いた。
「バイク乗りだね・・」
その一言を聞いて、自分の心に一つの想いが湧いてくる。
走りたい。
長距離を。
あても無く走る事も楽しいが、目的はあった方が良い。
明確に折り返し地点を決められる事は、「帰る」という行為に繋がるから、
そのまま止まらずに「はてしない旅」に出る事にはならないだろう。
社会の中で生きているのに、その社会に息が詰まって、
逃げ出したい気持だけで走るより、よっぽど気がきいているとも思える。
と、そう考えていた時、翌週にある岐阜・大垣でのライダーズパーティーの話が出た。
聞けば、この日訪れた関西組は、殆どそこにも顔を出すのだと・・・。
心の中でニヤッと笑った自分がいた。
来週は、こっちが走る番だ。
「んじゃ、帰りますワ・・・」
と9時頃、奈良の北岡が腰を上げた。
X4に跨った彼の荷物には、「清風楼」の「焼売」がくくりつけられていた。
これって、
600マイル焼売・・・・・かな?
Text and Photo by H.Wakao
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