ちっとも雨が降らなかった夏には、
毎日暗くなるまで仕事だった。
明るい街を見るのは、いつも職場の窓。
当たり前に過ごし、普通に考えている自分。
ある日、明日に回せる仕事をやらずに、
定時で家へ帰ってみた。
いつも通る道は、いつもと全然違う道。
風も匂いも色も違う。
何だか自分が
見知らぬ街に迷い込んだように感じる。
頑張る事を、忘れる事に利用して、
崩れ行く形から目を逸らして
足下だけを見ている毎日。
廻りを見ない生活は、
昼間の風景すらかき消した。
大好きな夕方の空を、
自宅に辿り着いて見上げたら、
忘れていた大事な物に似ている・・と、感じた。
by H.Wakao |