毎日遅くまで仕事に追われ、帰宅時に見上げる空はとても暗く見えるが、
星を探せない事に気がついて初めて、都会の明るさを感じたりする。
夜空には月と星。
そして雲。
漆黒の空を望めないなら、反射する街明かりを楽しむのが都会流。
湿気を帯びた空気に淡い彩りがのって、夜景は一層引き立つようだ。
夜間空撮があると聞き、都会の夜景を切り取ってみようと思った。
この日は8ノットの風があり、雲も低くて空撮向きではなかったが、
対象物の関係で変更はできなかった。
ツイストしながら対地速度200km/hで飛ぶ。
窓を開けると、ヒートアイランドの熱気が容赦なく機内に流れ込んだ。
夏休み最後の土曜日だからか、本牧埠頭の灯りはすっかり落ち、
海を行く船もまばらで寂しく見える。
埠頭から関内方向へ機首を向ければ、
今をときめくスワローズがベイスターズと戦っていた。
人工的な街づくりの結果、煌びやかな照明が溢れたベイエリア。
山下公園辺りの、古き良き時代を引きずる場所とは、明るさが違う。
不夜城のような灯りの洪水の中、高層マンションが立ち並ぶ予定がある。
それは、発売した途端に完売となるほどの、大人気らしい。
たまに見れば楽しめる夜景も、毎日見たら飽きがくる。
都会の喧噪を離れて落ち着きたい時もある私には、
あの場所に住みたい気持を理解できても、実行したいとは思えない。
明るい街並みとは対照的な、
暗く落ち着いた住宅地のコントラストを切り取っていたら、
「こっちも写して・・」と言いたげな月が浮かんでいた。
Text and Photo by H.Wakao |