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Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 
 

オリオンビール


夏の飲物と言えば・・・?

麦茶、アイスコーヒー、柑橘系のジュースにスピリッツの組み合わせも良いし、ラムやテキーラも良い。
いずれにしろ、飲み口が爽やかでスッと酔えて暑気払いができるのなら、
アルコールの有無はどうでもいい(よくない(爆))

さすがに一年中暑さに対抗する場所では、その手のアイテムが多いハズ。
コンビニやA&W(ハンバーガーショップ)へ飛び込めば、たしかに変わった飲物も多くあった。

ゴーヤ茶(苦瓜茶)、サンピン茶(ジャスミン茶)、うっちん茶(ウコン=ターメリック茶)、
シークゥワサー(柑橘系ジュース)、ルートビアーと、本土ではあまり見ないモノが(笑)

ゴーヤやウコンは、身体の内側から夏バテを防止してくれるモノだから、決して美味しいものではない。
それでも慣れてしまえば、何となく美味しく感じる?から不思議だ(爆)


しかし、暑い所には、やっぱり酒と辛いもの。
身体の中を熱くして、結果的に涼を得る事は常套手段のようだ。

で、沖縄地方にも、有名な「泡盛」というハードリカーと「オリオンビール」が存在する。
辛いモノと言えば、「島とうがらし」と言われる泡盛に唐辛子を漬け込んだ調味料が有名だ。
(クース、コーレグース、とも言われ、地区によって名称は変わるようだ)

ビールフリークの私は、当然オリオンビールをがぶ飲みするのだが、
このブランドの強さは、横浜における「キリン」の比ではない。

どの店に入っても「生」と言えばオリオン。
ライトもピルスナーも揃っているから、ここでは他ブランドの必要はない(笑)




7月の最初の日曜に行われる「オリオンビール祭り」は、
そのオリオンのシェアが凄い事を裏付けるような、一大イベントだ。

人口が4万を越える位の島において、ざっと見ても参加者が1万人を越えているように見える。
ステージトークでは「参加者2万人?」なんて言い方までしているが、
あながち嘘にも見えないと言えば、その規模が想像できるだろう。

そんなイベントを、冠スポンサーとしてサポートするのだから・・・・・・


イベントは午後より始まり、太鼓を使った独特の踊り等が演じられていく。
そして会場では、生ビールが500mlカップ一杯200円、発泡酒が一缶150円で販売される。
子供会や町内会の模擬店もあり、暑さをビールでぶっ飛ばせ〜という感じで盛り上がるわけだ。


そして日が落ち、メインである「ディアマンテス」がステージに上がると、
すでにかなり酒の入っている観衆は、一気にヒートアップする。

ペルー出身の アルベルト・シロマ は祖父の出身地沖縄に渡り、
地道な活動を続ける中であの「ガンバッテヤンド」をヒットさせた。

暑い沖縄で、必死に日本文化を学びながら活動していた彼は、日本というより琉球文化を取り入れたのだろう。
演奏する曲は、ジプシーキングやサンタナを彷彿とさせるものだが、妙に沖縄くささが漂うのだ。



「沖縄ミ・アモール」「ディア・マンボ」等のスタンダードが演奏されると、
観客達は沖縄独特の掌を空にかざした踊りで答える。
ラテンベースのメロディは、暑い石垣の空気に、違和感無く溶け込んでいく。
その心地よさは、ビールの酔いの助けもあってか、海の中に漂う感じに似ている。



 アイヤ! アイヤ! アイヤ!Yeah! Yeah! 

と シロマが歌えば、老いも若きも共に叫び、総立ちで踊る。
やがて、リズムに合わせてビールを空に投げる者が現れた。

すると、シロマが言う。

「世界には、水も満足に飲めない人達がいます。
 ビールは飲物だから、ちゃんと飲んでください。

 掛け合うのはやめようよ。

 ノッてくれるのは嬉しいけど、
 やめてくれないと演奏をやめなくちゃイケナイんだ。
 

 演奏、 続けても  いいよね?」


観客はもの凄い歓声で答えた。

そして、2度とビールを振りまく人はいなかった。


何だか、心温まる瞬間だった。

日系外国人として、厳しい道を歩いてきた彼からすれば、それは当たり前の発言だろう。
しかしその言い方は、決して押しつけではない、優しくも強い説得力に満ちていた。

それはまるで、木陰で涼しい風を浴びるような感触で、私の心にも流れた。




                     Text and Photo by H.Wakao

 
 
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