朝.6時30分、羽田。
ボーイング777は那覇に向かって飛び立った。
前日あまり寝ていないおかげで、あっという間に熟睡する。
目が覚めればあの空が待っている・・と、一人ニヤつきながら。
石垣島への直行便はこの時期早朝には無く、那覇でJTAに乗り換える。
既に梅雨前線は飛び越え、窓の外には群青の海。
紫外線いっぱいの眩しい太陽が、仕事漬けの頭に目覚ましパンチを入れる。
そして飛行機雲を引くフラップの向こうに、珊瑚礁が見えてきた。
6月の終わりに、沖縄地方は梅雨明けを迎える。
だから、7月初頭にこの地域を訪れるのは、色々な意味で正解だ。
まだ、観光客はそんなに訪れず、天気もすこぶる良い。
気温もそんなに高くなく、日差しさえ気をつければ、東京辺りより涼しいくらいだ。
今回は滞在期間が少しだけ長いので、さっそく離島に渡る事にした。
40ノット近くでる高速船に乗って数分走れば、竹富島。
ピーヤーシの香り(島こしょうとも呼ばれる)を嗅ぎながら、自転車に乗る。
明らかに違う文化を象徴するような建物が続く街並みは、
琉球国の存在を意識させてくれる。
台風に強い建物は、風避けの石垣に囲まれ、どっしりとしている。
屋根には赤い瓦とシーサー。
そして色とりどりの花がさいている。
離島としては人口の多いこの島では、ちゃんとシャワーまで完備した海水浴場まであるが、
ご覧の通りの人気の無さ。
これも、シーズン前の為せるワザ(笑)
珊瑚礁の欠片でできた砂道は、白く眩しくて走りにくい。
だから自転車で走ると、かなり体力を必要とする。
日頃の運動不足が露呈して、すぐどこかで休みたくなる。
そんな時は、数少ない日陰で休憩。
コンビニで買っておいた「サンピン茶(ジャスミン茶)」を飲んで、ヒートダウンする。
電話も届かない場所で、何もしない。
それは、仕事をすっかり忘れるための、大事な儀式。
美味いメシと美味い酒と、日常では味わえない景色があれば、
日常から切り離されても不安は呼ばない。
そんな事に気がついていても、なかなかできないのが旅行。
だからこそ意識して、そういう場所へ出かけたい。
水に浸かる事も嫌いな私も、この海の優しさには抗えない。
マスクとシュノーケルを着け、プカッと浮かぶ。
原色を纏った魚達が、人見知りもせず近寄ってくる。
彼らと睨めっこをしながら過ごす時間は、何にも代え難いリラクゼーションとなる。
ストレスは、生きていくための活力にもなるが、同時に心を削ってしまう。
削られた心は、身体と人間関係を壊していくモノのようだ。
やる気が失せたり、他人と話をするのが嫌になったり・・・。
それは、すでにストレス過多の兆候。
疲れている・・・、忙しい・・・、と呟いて自分を納得させるよりも、
そんな日常を切り離す事の方が、手っ取り早い。
酒を飲んだり、マッサージを受けたり、スポーツをしたり・・・。
強引にストレスを発散させようと頑張っても、あまり効果が無い。
そんな風に感じる方には、私流のこんな方法を試されたら如何だろう。
オフシーズンの南の島には、ストレスの欠片も見当たらない。
Text and Photo by H.Wakao
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