梅雨を間近に控えて、昨年秋にやった月見をしよう・・という事になった。
場所は、前回と同じ「山下町小公園」。
チェアウォーカーであるshigeと、彼のページに遊びに来るメンバーがメインで、
遠くから来たいと表明していた人もいたので、2日の土曜に設定をした。
この日、横浜は「開港祭」があり、観光客の数も多かった。
集合時刻である19時前に辿り着いた私達は、ある事実に驚いていた。
観光客は勿論の事、地域住民の皆さんから店で働く皆さんまでが、この東屋を憩いの場所としていたはずなのに、
床には吸い殻が山となり、イスには食べ物・飲物の容器が放置してある。
「これだから、観光客は困るんだよなぁ・・・」と呟きつつ、同時に到着した参加者とともに見られる程度に掃除をした頃、
伸びた日も落ちビールを干すに丁度良い風が、夜の訪れを囁きだした。
港で花火が上がり、観光客はどんどん海の方へ流れていく。
いつの間にか、前回同様の乗っ取り状態になった。
しかし今回は、タイミングが合わなかった人が多く、参加者より多い飲物と食べ物が揃ってしまった。
こんな時は、せっかくの時間を楽しまなくては勿体ない、と言うもの。
蓬莱閣の焼売と、菜香のニラ餃子、差し入れのケンタッキーフライドチキンとフレンチフライを肴に、
クアーズ、一番絞り、久米仙の岩茶割りに、イバンウィリアムス15年のロックで、調子に乗って楽しんだ。
春だからか、若い猫達が公園を走り回っている。
もの欲しげに近寄ってくる奴らにも、お付き合い頂いた(笑)
秋に比べると、随分違う位置に月が出ていた。
夜が短くなっていく時期だからか、21時過ぎにはすっかり登り切っている。
ぼ〜っとしながら月を見上げ、薄くなったロックをなめ、湿気が無い気持ちよい風に漂う。
今晩は、この気持ちよい風を浴びるために、ライダー達は走り続けているだろう。
案の定、ライダーの参加予定者達は、訪れる気配がない(爆)
22時になり、東屋の明かりが落ちると、想像以上の静けさが訪れた。
今宵は皆、大人しくその空気に浸りたいようだ。
沈黙を楽しむ客もいたりする。
そろそろ片づけて帰ろう・・という事になった時、
公園を掃除にきた若者達がいた。
公園に捨てられたゴミを拾い、吸い殻を箒で集め、最後に水をまいて掃除する。
町内で当番制にしているのか、単なるボランティアなのか解らないが。
若手が水をまいている彼らに箒を借りて東屋の掃除を始めたら、彼らは中国語で何かを語りかける。
それは、自分達がやるから楽しんでいて・・・・と言っているように見えた。
ちょっとだけ、嬉しい気持になる。
上手く日本語が使えない彼らの顔には、排他的な感情の色は見えない。
そうだ、ここは横浜だ。
世界の人々が訪れる場所として、開港した街だった。
広く世界から色々な国の人が訪れ、それを迎え入れてきた所。
言葉が通じなくても、笑顔で気持を通じさせる場所じゃないか。
どうしてしまったのだ・・・というニュースばかりの今、折角横浜に来てくれた観光客達に、
こんなコミュニティがまだまだあるって事を、伝えたい。
そしてできる事なら、彼らの笑顔と自分達のゴミを持ち帰ってもらえたら・・・、と思う。
Text and Photo by H.Wakao
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