MC KENTAUROS.
それは、得体の知れないクラブだった。
Gジャンの袖を切り、背中に大きなパッチを張り付けている。
バイクは大きい物が多く、街中なのにとんでもないスピードで走る・・・。
昼から酒を飲んで騒ぐ奴もいれば、殴り合いのケンカをどこでも繰り広げる奴もいる・・。
いずれにしろ、マトモではない人間の集まり・・と思っていた。
事実、高校の同級生が出入りしていたが、25年前の国道1号線で160km/h出すと豪語し、
実際にCB750でかっ飛んでいく姿を見るにつけ、自分とは関係ない世界だと考えていた。
劇画「ケンタウロスの伝説」が週刊プレイボーイに連載されその正体の一端を世間が知ると、
その存在はサブカルチャーの一つとして認識され、独自の世界を築いていくようになる。
捻り鉢巻にナッパ服のような暴走族ファッションとは違う、アメリカナイズされたスタイルは、
ライダースファッションの1カテゴリーを日本の中に産み出した。
そしてそれは色々な形で模倣され、その元になったであろう「H.A.」をそっくり真似る猛者まで現れた。
82年頃に「H.A.」が来日。
自分達のシンボルであるデスヘッドを侮辱する(真似た)グループを叩きに来たのだ。
各地でデスヘッドを真似たパッチは剥ぎ取られ、死ぬほど脅かされた・・と当時の事情通*は語る。
(「The Life and Times of Sonny Barger and the Hell'sAngels
Motorcycle Club」の和訳本後書きより)
当然、KENTAUROSにも訪れる。
その時、何が語られ何が起きたかは定かでないが、アウトローバイカークラブの証拠である
「1%er(ワンパーセンター)」のパッチを彼らはクラブに残していった。
AMA(American・Motorcycle・Association)から存在を否定する意味でつけられた名称「1%er」は、
アメリカのアウトローバイカーを区別するための、差別的総称である。
当時彼らは自らそれを受け入れ、あちら側とこちら側との違いを
パッチやタトゥーにして、明確に形で標した。
そのパッチは、HAでも幹部クラスだけが胸に貼り付けていたと聞いている。
国粋主義(白人至上主義?)である彼らが有色人種のmcを認める事など考えられないのだが、
その現物が今も大将の胸に貼りついている以上、同類として認知したという事だろう。
多くの人達がその存在を知るキッカケとなった、劇画「ケンタウロスの伝説」が連載されて20年。
節目という事でパーティーが開催される。
原作者であるオサム氏の店「GOTHAM CAFE」へメンバーや親交のあるグループ*が集った。
(FURAIBO[TOKYO]. ANGELDUST[KANAZAWA].SURTEES[HAMAMATSU].KERBEROS[YOKOHAMA].)
20人が辛うじて入れる位の店へ集まるのだから、一度には入れない。
朝から夜までの十数時間の間に、勝手に集まる事になっていた、が、
ピザ&パスタにビールがあって、友が遠方より来るのであるから話は尽きない。
狭い店から溢れてしまうメンバーもいた(笑)
世田谷区奥沢にあるこの店は、目蒲線「奥沢駅」から歩いて2・3分の所にある。
昔、ミスターバイクの編集長をしていたオサム氏が、何故飲食業?と思う人もいるだろう。
それは、集合をかけた大将の言葉が説明している。
「料理は感性と知性の融合でもある。
オサムのピザとスパゲティは諸君の舌を満足させる出来と信じている。」と。
実際、ピザは外側がカリッと焼き上がり、
クリスピーな歯触りと生地のしなやかさが同居する、楽しい物であった。
そして値段も1300円以下という設定であったから嬉しい。
こりゃ、良い店に出会ったなぁ・・と喜んでいる所に、大将が到着した。
しばしば最高速ステージとなる第三京浜を使えば、横浜からはあっという間。
だが私は、何故だか多摩川を越えるのが嫌いだ。
ひねくれたハマっ子根性だと誰かが言ったが、遊びに行くなら湘南の海がいい(笑)
ビールを四本も飲み、ピザも頂いて気持ちよくなったら、
浜松から来た友の愛犬が「遊んで〜」と声をかけた。
店の中は大将が来た事でまた、盛り上がりに拍車がかかったようだ。
今夜遅くまで続く宴。
この後もまだまだ仲間が訪れるだろう。
パラつく雨も気にしないで、オープンカフェで語り合うメンバーを眺めながら、
友の運転で横浜に帰る事にする。
ゆっくりしていたいが、仕方がない。
仕事の途中なのだから・・・・(爆)
GOTHAM CAFE
世田谷区奥沢 5-14-14
03−3725−4676
営業時間 11:00〜23:30
定休日 毎週 火曜日
Text and Photo by H.Wakao
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