サイト内検索
AND OR
Photo Essay
Text Essay
Desktop Gallery
Guestbook
Malt Crazy
道楽もほどほどに
日記的雑感
 
 
 

満月


海沿いの道を走ると、
一休みしろよ・・・と言いたげな店があったりする。


「フィッシャーマンズ・カフェ」と名付けられたその店は、
長者ヶ崎の駐車場に道を挟んだ反対側で営業していた。



コーヒーを啜りながら駐車場を眺めると、バイクが集まってくる。


そう、今日は満月の夜。
月に一度の定例ツーリングの日。


深夜0時、長者ヶ崎駐車場に集合。
砂浜にて、その日限りのちょっとしたイベントをする。

現地集合・現地解散が私達のルール。
マイペースで来て、マイペースで帰る。
スピードもルートも、自分が一番楽なように。


今回は、大鼓の大倉正之助氏が、浜で囃子を演じた。


能の世界に生きる彼は、バイクという接点だけで参加してくれる。
(毎回というわけではないが)

彼は満月の下で、浜の聴衆に向かって演じる。
一期一会を大切にするように・・
すれ違うライダーに手を上げるように・・・。


月の光、自然の音、潮騒、そして鼓の音が木霊して、聴く者の魂を揺さぶる。


昔、拡声装置の無かった時代には、
こんな自然と楽器との融合があったのだろう・・。
自然の力を味方につけた大鼓は、
心を振るわし、洗い清め、そして何かを満たしていく。


道路からの雑音など、何も感じない、感じられない。
そしてそれは、たまたまそこに通りかかった人達さえも巻き込んで、
不思議な空気と時間を築いていく。

たった一つの篝火を境に演じられた大鼓。

それは満月の日の深夜、きっとこの場所で、
これからも何回か、演奏されるだろう。



                 Photo by H.Wakao

 
 
サイト内の画像・テキスト等の無断利用・転載は禁じます。
Hisashi Wakao, a member of KENTAUROS all rights reserved. / Web design Shigeyuki Nakama
某若夢話は横浜飛天双○能を応援しています。