年度。
それは、会社にとっての区切り。
私の会社でも今月が年度の最終月で、
決算というやっかいな仕事が訪れる事を、意味している。
忙しさが積もるに従い、ストレスも貯まっていく。
それをリセットするのに、酒の力を借りようとする事も、最近多くなった。
行きつけのバーへ行かずに、ふらっと飛び込む店は、
不安と興味の調味料が効いて、別の時間を得るのに都合がいい。
だから、看板に書かれた文字や肩書きを吟味しながら、新たな出会いを求めてみる。
ショットバーと書かれた文字に誘われて入った店では、
黒服なんか着ないよ・・と言いたげな、気のいいオヤジが迎えてくれた。
聞けば、数年前まで中華街で店を開いていた・・・とか。
ママさんがいるような店が多い雑居ビルの中では、ちょっと違ったイメージで嬉しかった。
飲むモノは彼のキャリアから出てくるレベルのものだから安心していられるが、
悪戯っぽく出された赤い色のカクテルが凄かった。
ウォッカにカイエンペッパーを入れたもので、呆れる程辛い(笑)。
飲めないほどではない(辛いのがダメな人に無理)のだが、辛いばかりじゃないのが面白い。
文句を言いつつ、飲んでしまったから、美味しかったと言うべきか(爆)
(調合比率が難しいらしい)
どうしてショットバーと書いたのか尋ねたら、
「この店は酒が売り物です・・と言いたいし、やってるオヤジがちょっとパーだから(笑)」
こんな変なカクテル飲ますオヤジだから・・と笑って受け答えしつつ感じたのは、
カッコばかり整った若いバーテンより余程面白い・・という事。
客に媚びずに相手をする事は、やはり経験なのかも知れない。
こんな出会い(酒との)があるから、新しいお店は面白い。
旅行へ行く代わりと思えば安いもの。
で、最近は終電が終わってから、歩いて帰るクセがつきつつある。
歩けば、いつも歩いているコースなのに、新しい風景にも出会える。
日々、姿を変える街並は、不景気をぶっ飛ばせ!と叫んでいるようにも見える。
しかしながら、人影が薄いのはその時間帯だから・・・というだけではないのも事実。
ま、いつまで続くと文句を言っても始まらないので、頑張るしかない・・と呟きながら、
次にひっかかる店を探しながらの帰路。
仕事すら無い人が多くいる今、これはかなりの贅沢だと感謝しながら歩く。
それにしても今年は、桜が元気だ。
早すぎる開花は、いやでも春気分を盛り上げてしまう。
そして、新世紀初の事業年度が始まろうとしている。
Text and Photo by H.Wakao |